代田連絡線

代田連絡線に関する詳細

代田連絡線（だいたれんらくせん）は、東京都世田谷区に位置していた短命な鉄道路線です。この路線は、小田急電鉄小田原線の世田ヶ谷中原駅（現・世田谷代田駅）から京王帝都電鉄（現在の京王電鉄）井の頭線の代田二丁目駅（現在の新代田駅）までを結んでいました。全長はわずか644メートルであり、この路線は一般的な営業路線とは異なり、旅客輸送を目的とするものではありませんでした。

歴史的背景

代田連絡線は、1945年5月25日の東京大空襲によって、東京急行電鉄井の頭線の永福町駅にある検車区が被災したことから、その運行を支えるために設置されました。空襲直後、井の頭線の車両の大部分が焼失してしまったため、連絡線の敷設が急務となりました。その結果、同じ軌間（1067mm）を持つ小田急電鉄から車両を借入れ、新車や被災車両の搬出を目的とした路線となったのです。

建設にあたっては、著しい資材不足の中、応急処置的に設置されたため、橋梁は枕木を使用し、架線も通常の銅ではなく軟鉄が採用されました。また、使用される土地は強制収用されており、多くの制約が伴いました。代田連絡線は、井の頭線の運行に必要な車両の確保を果たすための貴重な役割を果たしましたが、1952年にはその利用が終了し、翌年には全線が撤去されることになりました。

代田連絡線の利用状況

代田連絡線は、沿線地域の復興が進む一方で、利用が少なくなっていきました。井の頭線に優先的に投入された新車は経堂工場で整備され、直接路線を通じて搬入されるようになり、代田連絡線の存在意義が減少しました。1951年には、地域住民から軌道撤去が求められることになり、さらに被災車両の搬出が完了したことで、代田連絡線は不要とされました。

廃止後の状況

代田連絡線が使用を停止した後、その廃線跡はすぐに住宅地に転用されました。そのため、現在ではかつての連絡線の名残を留めるものはほとんどありません。小田急小田原線世田谷代田駅の上りホームの裏には一部の廃線跡が残っていましたが、地下化および複々線化工事によりそれも消失しました。現在は、騎乗場にその跡形がわずかに残される程度です。また、京王井の頭線の代田二丁目駅近くには、以前の整備用の渡り線が存在していましたが、これも後に撤去されました。

まとめ

代田連絡線は、戦争の混乱の中で一時的に運行された鉄道路線です。短い運営歴の中で、その目的を果たした後に迅速に撤去され、跡地には新たな街並みが形成されました。現在ではこの路線の痕跡を感じることは難しいですが、歴史の一部として忘れられない存在であることは確かです。

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