永福町駅

永福町駅：歴史と文化が香る井の頭線の駅

東京都杉並区永福二丁目に位置する京王電鉄井の頭線の永福町駅は、乗降客数も多い、地域にとって欠かせない駅です。1933年（昭和8年）8月1日、帝都電鉄の駅として開業して以来、幾多の変遷を経て現在に至ります。

駅の歴史：昭和から令和へ

当初は帝都電鉄の駅として出発した永福町駅は、その後、小田原急行鉄道、東京急行電鉄と合併・分社化を繰り返しました。1948年（昭和23年）6月1日には京王帝都電鉄の駅となり、現在の京王電鉄井の頭線に属することになります。

1970年（昭和45年）には、永福町検車区・永福町工場が富士見ヶ丘駅に移転。そして1971年（昭和46年）12月15日にはホームが2面4線化され、急行運転が開始されました。これは駅の利用客増加と輸送力向上のための重要なステップでした。

その後、2008年から開始された橋上駅舎化工事が2011年（平成23年）3月23日に完了し、「京王リトナード永福町」という駅ビルも開業。バリアフリー化も進み、利便性が大きく向上しました。この工事によって、南口が開設され、エレベーターやエスカレーターも設置されるなど、快適な駅空間が実現しました。

駅構造：現代的な地上駅

永福町駅は、島式ホーム2面4線の地上駅です。井の頭線では唯一、待避線を持つ駅となっています。そのため、急行と各駅停車の緩急接続が可能で、スムーズな運行を実現しています。4番線は引込線と直結しており、輸送障害時や試運転時の折返しにも対応できます。

かつては駅舎とホームを繋ぐ通路が渋谷側に階段のみで設置されていましたが、橋上駅舎化によって、コンコースとホーム間にはエスカレーターとエレベーターが設置され、バリアフリー化が大きく進みました。

文化と芸術：彫刻と歴史

永福町駅の改札前コンコースには、杉並区ゆかりの彫刻家・佐藤忠良氏の作品『冬の像』が展示されています。この彫刻は、佐藤氏の弟子である笹戸千津子氏をモデルに制作されたもので、周辺に設置されたパネルには、佐藤氏や永福町にゆかりのある芸術家・文化人に関する情報が紹介されています。

パネルには、昭和35年頃の駅の写真や、洋画家の中川一政氏の随筆『永福町雑記』からの引用も含まれ、かつてこの地が芸術家や文化人の集まる街であったことが伺えます。国木田独歩の次男である佐土哲二氏をはじめ、多くの著名な芸術家や文化人がこの地域に住んでいたことがわかります。

利用状況と周辺環境

2023年度の1日平均乗降人員は約29,479人です。井の頭線の急行停車駅の中では最も少ないですが、それでも地域の生活に欠かせない駅であることがわかります。

駅周辺は住宅地で、永福通りには多くの商店が軒を連ねています。北側には京王ストアや杉並区役所永福和泉区民事務所、人気のラーメン店「永福町大勝軒」があります。南側には杉並永福郵便局があります。また、下高井戸駅へも徒歩圏内です。

バス路線：充実のアクセス

京王バス、関東バス、小田急バスの路線バスが乗り入れており、周辺地域へのアクセスも良好です。複数のバス停があり、新宿駅、吉祥寺駅、中野駅などへのアクセスが容易です。

隣の駅

上り: 明大前駅
下り: 西永福駅（各駅停車）
* 下り: 久我山駅（急行）

永福町駅は、歴史と文化、そして現代的な利便性を兼ね備えた、地域に根付いた駅と言えるでしょう。これからも地域の生活を支える重要な役割を担っていくことでしょう。

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