令女界

令女界の概要

令女界（れいじょかい）は、1922年に宝文館によって創刊された日本の雑誌です。この雑誌は1950年までの間に、特に女学校高学年から20歳前後の未婚女性を主な読者としていました。令女界はその名の通り、女性のための情報を多岐にわたって提供する場として人気を集めました。

この雑誌は、『少女画報』と同様に、読者からの身の上相談や美容に関する相談を積極的に扱っており、女性ならではの視点からのアドバイスや情報が盛り込まれていました。そのため、単なる娯楽だけでなく、実生活に役立つ内容が多く掲載されていたといえるでしょう。

また、令女界では恋愛に関する小説も数多く取り上げられており、その中には男女の恋の物語が含まれていました。これにより、令女界は「軟派な少女の読むもの」として捉えられることがありました。誌面には文学作品の他にも、読者の興味を引く多種多様な内容が散りばめられていました。

学校における令女界

令女界は、その内容からか、当時多くの学校で禁止されることがありました。遠藤寛子の言葉を借りると、「他の少女雑誌は公認しても『令女界』は禁止する学校が多かった」とされています。もちろん、禁止されたからといって読むことは自由でしたが、戦前の学校規則に従う少女たちは、勇気を持ってその枠を越えることは少なかったと言えます。このような背景から、令女界は少なからず反抗的な象徴としての役割を果たしました。

主な作家と作品

令女界に登場した作家たちも多才でした。代表的な作家には大原富枝や川端康成がいます。川端康成は、昭和8年1月号から6月号にかけて『翼の抒情歌』を発表しました。また、森田たまの『桃李の径』や、龍胆寺雄の『燃えない蝋燭』(昭和5年)や『禁断の果実』(昭和25年)といった作品も人気を博しました。

北川千代も数多くの作品を寄稿しており、彼女の作品『春に叛く』や『一つの路』は、令女界の文学的評価を高める要素となりました。また、詩の形式では、萩原朔太郎の散文詩『坂』が昭和2年9月号に掲載されています。

挿絵画家とその影響

令女界の魅力は、その文学的な側面だけではありません。挿絵画家として活躍した蕗谷虹児も、令女界の看板スターと称される存在でした。彼の代表作である詩『花嫁人形』は、大正13年2月号に掲載され、読者に強い印象を残しました。虹児は後にパリに留学し、彼のパリ通信も誌面に載せられ、国際的な視野を持つ女性読者に向けて幅広い情報を提供しました。

また、竹久夢二や須藤しげる、元義雄といった他の挿絵画家たちも、令女界の魅力を引き立てる役割を果たしました。これらの挿絵は、読者の心をつかみ、雑誌の人気を高める要因となりました。

令女界は、女性の自己表現や恋愛、社会進出への道を切り開く一助となったものとして、今なお魅力的な存在です。

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