龍胆寺雄

龍胆寺雄（りゅうたんじ ゆう）

龍胆寺雄（1901年4月27日 - 1992年6月3日）は、茨城県出身の作家、そしてサボテン研究家として知られています。本名は橋詰雄。

生涯

生い立ちと初期の活動

龍胆寺雄は、千葉県佐倉町（現在の佐倉市）で生まれ、その後茨城県下妻町（現在の下妻市）で育ちました。父は長塚節の親友であり、国語教師をしていました。文学的な環境の中で育ち、茨城県立下妻中学校を卒業後、旧制高等学校への進学を目指しますが、病に倒れ、受験を断念します。その後、慶應義塾大学医学部に入学しますが、文学への情熱を捨てきれず、中退。

文壇デビューとモダニズム文学

1928年、「放浪時代」が『改造』の懸賞創作で一等入選を果たし、文壇にデビュー。同年発表した「アパアトの女たちと僕と」が谷崎潤一郎らに絶賛され、モダニズム文学の作家としての地位を確立します。同人誌『近代生活』を創刊し、新感覚派や新人生派の作家たちと交流を深めました。

文壇からの離脱とその後

1934年、「M子への遺書」で文壇の腐敗を批判し、文壇的地位を失ったとされています。しかし、この件に関しては、被害妄想や誇大解釈ではないかという指摘もあります。戦後は、性記録文献資料の執筆や、サボテン研究に力を注ぎました。

サボテン研究家として

神奈川県大和市の自宅でサボテンの研究に没頭し、日本砂漠植物研究会を主宰。サボテンの栽培研究で国際的な名声を得ました。1974年には、サボテンへの愛を綴った随筆集『シャボテン幻想』を出版しています。

晩年

自伝『下妻の追憶』や『人生遊戯派』を出版し、自身の文学活動や文壇との関わりを振り返りました。1984年から1986年にかけて『龍胆寺雄全集』が刊行され、1989年には龍胆寺雄文学賞が設立されました。晩年も精力的に執筆活動を続け、1992年に心不全で死去。

人物

龍胆寺雄は、モダニズム文学の作家として華々しいデビューを飾りましたが、文壇との軋轢や、その後のサボテン研究家としての活動など、多岐にわたる顔を持っていました。その生涯は、常に変化と挑戦に満ちていました。

著書

『アパートの女たちと僕と』
『放浪時代』
『シャボテン幻想』
『下妻の追憶』
『人生遊戯派』
『龍胆寺雄全集』

参考文献

『文藝春秋』1977年8月 臼井吉見「川端康成政治家説の背景」

外部リンク

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