以心電信 (YMOの曲)

以心電信（いしんでんしん）

「以心電信」（英語: You've Got To Help Yourself）は、1978年に結成された日本の電子音楽バンド、イエロー・マジック・オーケストラ（YMO）の9作目のシングルです。この曲は1983年9月28日にアルファレコードからリリースされました。本シングルは、アルバム『サーヴィス』の先行シングルであり、YMOの解散前最後のシングルとなりました。

制作背景

この楽曲は、国際連合が設定した「世界コミュニケーション年（WCY）」の公式テーマ曲として、特にNHKにおいて多く放送されました。レコーディングの際、当時のメンバーである坂本龍一、細野晴臣、高橋幸宏の3人は「俺たちはゴダイゴか？」とお互いに苦笑し合ったというエピソードがあります。また、楽曲のレコーディングはメンバー間の確執が影響し、三人が同時にスタジオに入ることがなかなかできなかった中で、唯一この曲だけは一緒に制作されたという貴重なものです。

さらに、シングルの正式リリースの前に、坂本がパーソナリティを務めるラジオ番組『サウンドストリート』において、異なる歌詞とミックスでこの曲が放送されたこともあります。この際、坂本は自身の考えたタイトルを用いたと回想しています。

シングル・ヴァージョンは、アルバム・ヴァージョンとはミックスやボーカルに違いはありませんが、フェードアウト部分が異なり、シングルの方が早めに終わります。シングル・ヴァージョンは『YEN RECORDS HISTORY SINGLES+α』や『CUBIC - YMO CD Single BOX』に収録されています。

歌詞の背景とテーマ

曲の歌詞には「七つのボタン」という表現がありますが、これは軍服、特に予科練の制服を指しているとされ、NHKでの放送について若干の不安があったというエピソードも残っています。また、細野晴臣は後に、アメリカにおける自助運動に興味を持ち、「自分を助けられない人間に他人なんか助けられない」という考えも含まれていると述べています。さらに、楽曲はチャリティーソングの皮肉を込めてもいると振り返っています。坂本龍一によれば、楽曲全体のスタイルはビートルズの活気溢れる曲に影響を受けており、華やかな式典を想起させる雰囲気があるとのことです。

ライブパフォーマンス

「以心電信」は、過去にいくつかのライブで演奏されており、特に顕著なのは2007年5月19日に行われた「Smile Together Project Special Live 2007」での演奏です。この時は、高橋幸宏、坂本、細野の3人がHUMAN AUDIO SPONGEとしてパフォーマンスを行い、その後7月7日に開催された「ライブ・アース」では、YMOとして14年ぶりにこの楽曲を演奏しました。しかし、この2つのライヴでは、原曲から歌詞が変更・割愛された点があるため、オリジナルの印象とは異なる面があったと言えるでしょう。

収録曲とカバー

「以心電信」は、リリース以降多くのアーティストにカバーされており、2006年5月31日にはクラムボンのアルバム『LOVER ALBUM』に、また2010年5月10日にはキーンのミニアルバム『Night Train』に、さらに同年9月22日にはコトリンゴのアルバム『picnic album 1』に収録されています。これらのカバーは、オリジナルとは異なる解釈を提供するものとして評価されています。

このように、「以心電信」はYMOにとっても特別なシングルでありました。その創作背景や影響、パフォーマンスの変遷に触れることで、この楽曲の持つ深い意義を感じることができます。

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