仲住芳雄

仲住芳雄の生涯と競馬界での功績

仲住芳雄（なかずみ よしお、1921年10月3日 - 2004年3月21日）は、日本の競馬界において多大な影響を与えた騎手および調教師として知られています。神奈川県横浜市に生まれ、競馬の名門である仲住家に育ちました。彼の父は日本レース・倶楽部の幹部であり、兄は著名な騎手でもある仲住達弥でした。

幼少期と騎手への道程

芳雄は幼い頃から騎手になることを夢見て育ちました。小学校を卒業した後、旧制横浜第三中学に進学しましたが、3年次の途中で中退し、兄のもとで修行を始めました。1938年に騎手免許を取得し、競馬界に足を踏み入れましたが、その当時は兄が厩舎の主力馬に乗っていたため、芳雄は劣った馬に乗る機会が多く、その中で多くの経験を積むことになりました。

戦時中の天津競馬

1941年、芳雄は徴兵されましたが、厳しい環境により体調を崩し、一時除隊されました。その後、競馬が中止されていた日本を離れ、天津競馬場で騎手として活動を始めました。その頃、天津の競馬は意外にも活発で、多国籍の騎手たちと共にレースを行っていました。彼は特に蒙古馬を日本式の騎乗フォームで扱い、驚くべき成績を挙げました。その結果、1日14レースのうち13レースで勝利を収めることもあったそうです。

帰国と騎手から調教師へ

1945年に帰国後も騎手を続けましたが、1950年頃に落馬事故で脊髄を傷め、その後は痛みに耐えながら騎乗を続けました。しかし、1961年に調教師へ転身することを決意しました。騎手としての通算成績は1102戦138勝でした。

調教師としてのスタートを切ると、すぐに輝かしい成績を残しました。初年度には、テンポに乗って東京アラブ障害特別を制し、その後も重賞勝利を続けました。特に1975年にデビューしたテスコガビーは、彼にとっての代表的な馬であり、桜花賞や優駿牝馬を制するなど、数々のタイトルを獲得しました。この牝馬はその圧倒的な能力から「史上最強牝馬」とも言われました。

存命中の活躍と評価

テスコガビー以降、仲住厩舎からは多くの名馬が誕生しました。アイフルやミナガワマンナ、アズマハンターなど、数々の八大競走を制覇し、彼の名声は高まりました。彼は高額馬を求めるのではなく、安価な素質馬を見出すことに注力し、馬主との信頼関係を築き上げました。

引退と最期

1992年にマルマツエースを手がけたことで最後の重賞勝利を挙げ、1997年に定年によって調教師を引退。通算成績は6843戦730勝、うち八大競走では5勝を達成しました。その後も、彼の影響は競馬界に色濃く残り、2004年に82歳でこの世を去りました。

今でも仲住芳雄の名は、競馬の歴史に名を刻み、多くの人々の記憶に残り続けています。

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