伊予鉄道モハ2100形電車

伊予鉄道モハ2100形電車

伊予鉄道が運行するモハ2100形電車は、独特のデザインと高い実用性を兼ね備えた軌道線用の電車です。この電車は、その四角い形状と初期の白を基調とした塗装から、鉄道愛好家たちの間で「豆腐」と親しみをもって呼ばれています。

概要

伊予鉄道は、松山市内の市電停留場での引き上げ線の長さに制約があり、そのために全長が長い連接式の超低床路面電車を導入することができませんでした。そこで選ばれたのが、単車型の超低床路面電車モハ2100形です。この電車は、アルナ工機とその後を継ぐアルナ車両によって開発されたリトルダンサータイプSに基づくもので、ボギー構造の単車型車両となっています。全長は12,000mm、幅は2,230mm、自重は20t、定員は47人（そのうち座席は20人）です。このモハ2100形は、単車の路面電車としては初めての超低床車でもあります。

2002年3月19日に営業運転を開始したこの電車は、松山市内線におけるバリアフリー化と旧型車両の置き換えを目的として登場しました。車両の設計上、台車間を広く取ることでカーブ走行時の安定性を確保しつつ、12mという長さに収まるようになっていますが、このことは定員に影響を及ぼしており、特に朝夕のラッシュ時には70人以上の収容が可能だった旧型車両と比較して、乗客の積み残しが発生することもあります。

2002年から2007年にかけて、毎年2両のペースで導入され、2023年には10両が本町線を中心に走行しています。

車体の特徴

モハ2100形は、伊予鉄道で初めてVVVFインバータ制御を採用し、シングルアーム式パンタグラフも特徴的です。主電動機は三相誘導電動機が用いられており、低床化により制御装置は床下ではなく屋根上に設置されています。また、騒音を防ぐために台車カバーが使用されています。

4次車として2005年に導入された車両では、制御装置やコンプレッサーの設計が改良され、特に音の静かさが向上しています。側窓にはUVカットガラスが使われ、カーテンは省かれています。車体デザインは伊予鉄道のイメージカラーのオレンジとホワイトが基調となっており、内装も瀬戸内海をイメージしたものとなっています。

乗客の利便性を考慮して、乗降口の床高は350mmであり、電停との段差は50mmから200mmの間で収まっています。また、車両の一部座席は折り畳み式となっており、車いすスペースを確保しています。さらに、乗降口には車いす用のスロープも完備されています。

前期型と後期型の違い

伊予鉄道では、モハ2100形を前期型（2101－2106号）と後期型（2107－2110号）に分類しています。この両者の主な違いは、屋根上の主要機器配置や運転台の丸型ミラーの数に見られます。前期型はパンタグラフ側に制御装置、冷房装置、電源装置と並んでおり、後期型ではその順序が逆になっています。電源装置の形状にも違いがあり、前期型はカマボコ型、後期型は四角型です。

丸型ミラーに関しては、前期型は車内外に各1つずつあり、後期型は車内に1つのみとなっています。これらの改善は運転手からのフィードバックを反映したもので、運転のしやすさが考慮されています。

結論

モハ2100形電車は、その独自のデザインだけでなく、バリアフリー化や効率的なエネルギー使用など、現代の交通ニーズに応える車両として進化を続けています。松山市内の重要な交通機関として多くの人々に利用されており、そのユニークな特徴が鉄道ファンだけでなく、一般の乗客にも支持されています。

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