伊勢貞成

伊勢貞成（いせ さだなり）

伊勢貞成は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけての武将で、島津氏の家臣として活躍しました。その生涯は、戦乱の時代を生き抜いた武士の姿を色濃く映し出しています。

生涯

文禄元年（1592年）、貞成は父である伊勢貞真と共に朝鮮の役に参加しました。当時、貞成は真幸院飯野（現在の宮崎県えびの市）の地頭でありました。しかし、翌年に父・貞真が朝鮮で病没したため、貞成は家督を継ぎ、島津義弘の家老として、また飯野の地頭として、その後の人生を歩むことになります。

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは、島津義弘が西軍に与して戦うことになります。貞成は、義弘の元へ昼夜を問わず駆けつけ、その退却戦においては軍奉行として自ら先陣を切り、東軍へと突撃しました。その勇敢な行動は、島津軍の退却を支える上で重要な役割を果たしました。また、退却の際には長束正家の陣へ撤退の挨拶をする使者となり、正家から帰国のための道案内役を一騎付けてもらったという逸話も残っています。

慶長8年（1603年）、島津家と肥前唐津城主である寺沢広高との間に縁談が持ち上がります。しかし、寺沢家がキリシタンであるとの噂が広まり、この縁談を破談にすべきという意見が強まりました。この状況に対し、貞成は「私に任せていただければ、必ずや破談にしてみせます」と自ら名乗りを上げました。そして慶長12年（1607年）、貞成は蒲生衆5人（当時、貞成は吉田蒲生地頭でした）と家来40人ほどを率いて唐津城へと向かいました。ところが、交渉を終え帰国の途にあった11月8日、寺沢家の家老である高畠新蔵（仲兵衛とも）から志岐城で饗応を受けていた際に、些細なことから喧嘩となり、斬り合いに発展してしまいます。この斬り合いで、貞成は深手を負い、39歳という若さでこの世を去りました。この事件の責任を取り、高畠新蔵は後に自害したとされています。

伊勢貞成は、その短い生涯の中で、武将としての勇猛さと、家臣としての忠誠心を示しました。関ヶ原の戦いでの活躍や、縁談破談のために単身で乗り込む決意など、その行動は常に大胆で、周囲を惹きつける魅力がありました。

参考文献

* 『本藩人物誌 鹿児島県史料集第13集』鹿児島県立図書館、1973年

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