真幸院

真幸院（まさきいん）とは

真幸院は、かつて日向国（現在の宮崎県）の南部に位置した山沿い地域の旧名で、現在のえびの市、小林市、高原町に相当する地域を指します。この地域は、かつて「5郡8院」と呼ばれた日向国の行政区分の一つであり、豊かな穀倉地帯として知られていました。

真幸院の領域

真幸院は、当初、現在のえびの市にあたる地域（加久藤、飯野、吉田、馬関田、吉松）を指す総称でした。その後、小林（旧名：三山）もその領域に加えられ、さらに時代が下ると、大隅国の吉松を除く西[[諸県郡]]全体を「真幸表」と呼ぶようになります。この「真幸表」には、高原、野尻（旧野尻町）も含まれるようになり、その領域は文献によって多少異なるものの、現在のえびの市、小林市、高原町を中心とした地域として認識されています。

真幸院を巡る争い

真幸院は、古くから豊かな穀倉地帯であったため、その支配権を巡り、「島津氏」、「伊東氏」、「相良氏」、「菱刈氏」、「北原氏」といった有力な武将たちが激しい争奪戦を繰り広げました。

南北朝時代までは、日下部氏がこの地域を統治していましたが、その後、約200年にわたり北原氏が支配しました。しかし、伊東氏が北原氏の家督問題に介入し、領地を奪います。これに対し、北原氏の旧臣たちは島津氏、北郷氏、相良氏に協力を求め、真幸院を奪還しました。しかし、北原氏の内紛により領地の維持が困難となり、最終的には島津氏がこの地域を領有することとなりました。

真幸院という名称の由来

真幸院の名称は、この地域で収穫された租稲（年貢米）を保管する倉庫（正倉）が、垣で囲まれた場所に建てられていたことに由来します。当時、この倉庫を「院」と呼んでおり、その倉庫が建てられた場所が、現在の「えびの市真幸」でした。当初は単に「真幸にある倉庫」を意味していたこの言葉が、後に倉庫に租稲を納める地域全体の名称へと変化していったのです。

また、「真幸」という地名は、元々は「真狭」と記されていました。これは、南の霧島山脈と北の球磨山脈に挟まれ、平地が細長く狭い地形をしていることから「真狭き形」と呼ばれていたことに由来します。

将軍家が院司を置くようになった元暦の頃から、「真幸院」という名称が使われるようになったとされています。

関連事項

西[[諸県郡]]
加久藤盆地
小林盆地

参考文献

「えびの市史　上巻」：えびの市郷土史編さん委員会
* 「小林市史　第一巻」：小林市史編纂委員会

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