伊勢電気鉄道ハ451形電車

伊勢電気鉄道ハ451形電車

伊勢電気鉄道ハ451形電車（いせでんきてつどうハ451がたでんしゃ）は、1928年に伊勢電気鉄道によって導入された付随車形式の電車です。動力装置や運転台がないこの車両は、同じ時期に製造された電動車と共通の車体構造を持つことが特徴です。
本項目では、ハ451形電車と同時に新造されたデハニ201形、デハニ211形、および制御車のハ461形についても詳しく説明します。

概要

この車両群は、低規格の地方鉄道から高規格の都市間高速電気鉄道への転換を図る中で初めて設計されたものであり、伊勢電気鉄道初の17m級車体を持つ大型車両です。ハ451形、デハニ201形、デハニ211形、ハ461形の4形式から成り立っており、特に付随車（後に制御車となる）には便所が装備されていました。このため、1970年代前半まで本線での長距離急行運用にも使用されました。

導入経緯

1922年に電化が決議され、津新地から四日市までの路線が直流1,500Vで電化されました。1926年には運行が開始され、以降、車両のデザインが大きく見直されることとなりました。
経営方針の転換によって、伊勢鉄道から伊勢電気鉄道に変更されたこの時期に、より高速運転可能な車両が求められたのです。新造された電車は短距離運転に適した設計であったため、長距離運転にはふさわしくありませんでした。それに伴い、長距離輸送に適する車両の設計が急務となり、ハ451形がその第一陣となります。

車種構成

通常、新線開業時には基幹となる電動車が先に新造されるものですが、1928年夏の増加する海水浴シーズンに向けて、付随車が先行して製作されました。

ハ451形

• - 形式名: ハ451 - ハ453
• - 造成年月日: 1928年8月15日
• - 定員: 120名 / 座席定員58名

日本車輌製造本店で製造され、当初は制御車ではなく、蒸気機関車時代の運用方式により既存の電動車に牽引される形となりました。
その後、泗桑線開業に伴い、デハニ形車両と共に制御機能を持つことが求められ、改造を経て運用が続きました。

デハニ201形・デハニ211形

• - デハニ201: 制御電動車（1928年12月23日竣工）
• - デハニ211: 制御電動車（1928年12月4日竣工）

どちらも日本車輌製造本店製で、手荷物室が装備されていました。これらの電動車は、後に高出力の電動車が登場したことで、主にローカル運用に回されることとなります。

ハ461形

• - 形式名: ハ461 - ハ463
• - 造成年月日: 1929年5月3日

これは制御車として新造され、ハ451形同様に電動車との連携が重要な役割となりました。

車体と設備

ハ451形は、17m級の半鋼製車体に、木製構造のルーフと内装を持ち、従来の設計の影響を受けた形状です。内装にはロングシートが設置され、簡素なものでしたが、全面はイムペリアル・スカーレットと呼ばれる華やかな色合いを持っていました。

運用と廃車

それぞれの車両は、その設計や性能から運用環境が異なり、特にハ451形は旅客弁護に多く用いられました。条件の変化により、これらの車両は1970年代に次々と廃車へと進みました。
全ての形式が現在では廃止され、保存車両も存在しないため、これらの貴重な歴史的存在は失われてしまいました。

ハ451形電車は、伊勢電気鉄道の歴史的な一端を担う存在であり、同時に日本の鉄道の進化の過程を生きた重要な車両でもありました。

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