伊号第一潜水艦 (2代)

伊号第一潜水艦（2代）

伊号第一潜水艦（2代）は、大日本帝国海軍が建造を計画した潜水艦です。一般的には伊十三型潜水艦の4番艦として認識されていますが、法令上は伊九型潜水艦の1番艦として扱われました。艦名は、先に存在した伊号第一潜水艦（初代）から引き継がれています。

艦歴

本艦は、改⑤計画に基づいて「潜水艦甲」、仮称艦名「第5093号艦」として計画されました。当初の計画では、伊号第十二潜水艦と同型になる予定でしたが、1943年後半に伊四百型潜水艦の建造隻数が削減されたことを受け、その穴埋めとして伊号第十三潜水艦と同様の基本計画番号J35Cに基づく設計に変更されました。

1943年6月24日、川崎重工業泉州工場で起工されました。1944年3月15日には、「伊号第一潜水艦」と命名され、伊十型潜水艦の1番艦として正式に定められました。本籍は横須賀鎮守府と仮定されました。同年6月10日に進水しましたが、進水後、川崎重工業本社艦船工場へ送られたものの、艤装工事はほとんど進められず、主電動機2基と軸系装置の設置が完了した段階で工事は中断されました。

建造工程が約40%に達した時点で工事は中止となり、終戦時には未完成のまま残されました。1945年9月18日、枕崎台風の影響により神戸市敏馬沖で沈没しました。その後、1947年4月に引き揚げられ、解体されました。

設計

本艦の設計は、伊十三型潜水艦に準じたものとされています。伊十三型潜水艦は、水上機を搭載する能力を持つ大型潜水艦であり、長大な航続距離と高い雷撃能力を有していました。伊号第一潜水艦（2代）も、同様の性能を備えるように設計されていたと考えられます。

特徴

大型潜水艦: 伊十三型潜水艦をベースとしているため、大型で長大な航続距離を持ちます。
水上機搭載能力: 設計上、水上偵察機を搭載することが可能でした（実際には搭載されず）。
高い雷撃能力: 多数の魚雷発射管を装備しており、高い雷撃能力を持つように設計されていました。

脚注

本艦は、伊号第一潜水艦（初代）の艦名を襲名した2代目です。
計画変更により、当初予定されていた伊十二型潜水艦とは異なる設計となりました。
艤装工事はほとんど進められず、未完成のまま終戦を迎えました。
枕崎台風で沈没したものの、後に引き揚げられ解体されました。

参考文献

海軍省
昭和19年3月15日付 達第70号、内令第437号、内令第445号。
昭和19年12月16日付 内令員第2475号。
昭和20年8月31日付 大阪警備府『大阪警備府管下艦艇（未成艦ヲ含ム）目録』。
昭和20年8月31日付 大阪警備府『大阪警備府管下艦艇船体兵器機関艤装品目録』。
昭和20年8月31日付 近畿海軍監督部『大阪方面所在艤装艦艇船体兵器機関艤装品目録』。
世界の艦船 No. 469 増刊第37集 『日本潜水艦史』、海人社、1993年。
福井静夫 『写真 日本海軍全艦艇史』、ベストセラーズ、1994年。ISBN 4-584-17054-1
防衛研修所戦史室 『戦史叢書』 第88巻 『海軍軍戦備(2) -開戦以後-』、朝雲新聞社、1975年。
明治百年史叢書 第207巻 『昭和造船史 第1巻（戦前・戦時編）』、原書房、1977年。
歴史群像 太平洋戦史シリーズ Vol. 17 『伊号潜水艦』、学研、1998年。

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