伊号第三十八潜水艦

伊号第三十八潜水艦

伊号第三十八潜水艦（伊38）は、大日本帝国海軍が建造した伊十五型[[潜水艦]]の19番艦です。1939年の第四次海軍補充計画に基づき建造が決定され、1941年6月に佐世保海軍工廠で起工、1942年12月に竣工しました。

艦歴

竣工と初期の活動

竣工時、伊38の艤装員長には、大酒飲みとして知られる一方で、潜水艦指揮能力に長けた安久栄太郎中佐が着任しました。竣工後、呉に移動し、新型の浅深度魚雷の試験や運搬筒の搭載試験を行いました。その後、呉鎮守府呉潜水戦隊に編入され、訓練部隊として活動を開始しました。

輸送作戦での活躍

1943年4月、伊38は第11潜水戦隊に編入され、その後、第六艦隊第1潜水戦隊第15潜水隊に所属しました。ラバウルを拠点に、ラエやサラマウアなどの前線への輸送任務に数多く従事しました。輸送任務では、食糧、弾薬、人員などを運び、時には傷病兵の輸送も行いました。また、運搬筒を使用した輸送作戦も実施し、陸上部隊への補給を支援しました。これらの作戦中、米軍の魚雷艇や航空機との遭遇が頻繁にありましたが、巧みな操艦術と潜航技術により、多くの危機を回避しました。

ソロモン諸島方面での作戦

1943年7月、伊38はソロモン諸島周辺海域での作戦に参加しました。この作戦では、輸送船の攻撃を試みましたが、敵の警戒が厳しく、目標を捕捉することができませんでした。また、米軍の駆逐艦との交戦や、航空機による攻撃も受けましたが、大きな損害を被ることなく作戦を継続しました。

後期の輸送任務と最期

1943年後半から1944年初頭にかけて、伊38は再び輸送任務に専念しました。ラバウルから各地への輸送作戦を繰り返しましたが、敵の勢力が増すにつれ、作戦は困難を極めていきました。輸送作戦の合間には、運搬筒の曳航試験なども行いました。1944年4月には、第九艦隊司令部要員の輸送任務にも従事し、ウェワクやホーランディアへの輸送を実施しました。

その後、伊38はマーシャル諸島東方沖やマリアナ諸島東方沖に進出し、作戦に参加しました。しかし、第六艦隊司令部要員の救出作戦は失敗に終わりました。

1944年11月、伊38はルソン島東方沖で米機動部隊を発見したという報告を最後に消息を絶ちました。アメリカ側の記録によると、11月12日、米駆逐艦ニコラスとテイラーが、浮上航走中の伊38をレーダーで捕捉し、砲撃と爆雷攻撃により撃沈しました。この戦闘で、伊38の乗員110名全員が戦死しました。沈没地点は、パラオ東方沖、北緯08度04分 東経138度03分と記録されています。

歴代艦長

伊38の歴代艦長は以下の通りです。

艤装員長：安久栄太郎 中佐（1942年12月5日 - 1943年1月31日）
艦長：安久栄太郎 中佐（1943年1月31日 - 1944年2月15日）
艦長：安久栄太郎 中佐（1944年3月6日 - 3月15日）
艦長：当山全信 少佐（1944年3月15日 - 4月27日）
* 艦長：下瀬吉郎 中佐（1944年4月27日 - 11月12日戦死）

まとめ

伊号第三十八潜水艦は、太平洋戦争において、輸送作戦を中心に活躍した潜水艦でした。度重なる危険な任務を遂行し、多くの物資と人員を前線に送り届けました。その最後は、アメリカ軍の駆逐艦によって撃沈されるという悲劇的なものでしたが、その功績は後世に語り継がれるべきものです。

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