伊号第三百七十二潜水艦

伊号第三百七十二潜水艦について

伊号第三百七十二潜水艦は、大日本帝国海軍に属する潜水艦で、伊三百六十一型潜水艦の中では12番目にあたります。本艦は通常の潜水艦とは異なり、魚雷発射管を持たず、物資を運ぶために設計されています。このような特異な設計から、本艦は「潜輸改」とも呼ばれています。

艦歴

艦の歴史は1944年に始まります。具体的には、マル戦計画第2961号艦として、1944年2月10日に横須賀海軍工廠で起工され、その後、6月26日に進水し、11月8日に竣工しました。竣工後は佐世保鎮守府に籍を置き、同日に第十一潜水戦隊に編入されました。その後、1945年1月8日に第七潜水戦隊に移ります。

1945年2月4日、本艦はフィリピンにいる陸軍の搭乗員を高雄へ輸送する任務を命じられましたが、2月8日に出発するものの、作戦は途中で中止となりました。3月20日には第七潜水戦隊が解隊され、「伊372潜」は「伊369潜」とともに第十六潜水隊を編成します。

4月1日、本艦は横須賀を発し、ウェーク島への輸送任務に従事しました。4月18日には無事ウェーク島に到着し、50トンの物資を揚陸しますが、敵潜水艦の攻撃を受けたことで、30トンの物資を失うこととなります。復路では約60名の乗客を便乗させ、4月29日に横須賀に帰投しました。

帰投後は、横須賀海軍工廠にて浮力タンクの撤去や三式探信儀の設置など、様々な工事が行われました。6月15日には再度ウェーク島への輸送任務に出発し、6月27日に物資の揚陸を行いました。この際も前回同様に50トン中20トンが失われています。7月10日には再び横須賀に帰投しました。

しかし、その後の7月18日、横須賀空襲の際に本艦は右舷中部付近に至近弾を受け、その結果として沈没してしまいます。戦闘による犠牲者はほとんどおらず、戦死者は1名とされています。最終的に、9月15日に本艦は除籍されました。

歴代艦長

本艦の艦長は以下の通りです。

• - 松下寛 大尉：1944年11月8日から
• - 高橋真吾 大尉：1945年5月15日から

参考文献

• - 雑誌「丸」編集部『写真 日本の軍艦 第12巻 潜水艦』光人社、1990年。
• - 外山操『艦長たちの軍艦史』光人社、2005年。
• - 福井静夫『写真日本海軍全艦艇史』ベストセラーズ、1994年。
• - 機関誌『潜望鏡』佐鎮潜航会、2000年。
• - 防衛庁防衛研修所戦史室『戦史叢書第98巻　潜水艦史』朝雲新聞社。
• - 吉野泰貴『輸送潜水艦伊号第361型列伝　命を繋いだ12隻の航跡』大日本絵画、2020年。

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