伊号第三百五十一潜水艦

伊号第三百五十一潜水艦の概要

伊号第三百五十一潜水艦（いごうだいさんびゃくごじゅういちせんすいかん）は、大日本帝国海軍の潜水艦であり、主に補給任務に特化した設計がなされていました。本艦は「潜補型」とも呼ばれ、海軍が航空機による攻撃を考慮していた1930年代後半に、その戦略の一環として開発されました。特に、航空機の航続力が制限される中で、敵の根拠地に近い水域での補給が必要であったため、その役割は重要視されました。

その背景について

日本海軍では、真珠湾攻撃に先立ち、航空機を用いたハワイ奇襲の計画が進められ、開戦前の攻撃の可能性が検討されていました。海軍大学校が1936年にまとめた文書では、開戦に際し、敵艦隊が出撃しない場合は迅速な艦隊決戦が難しいとされ、そのため真珠湾への攻撃でアメリカ艦隊の出撃を促すシナリオが描かれていました。この動きの中で、敵の航空戦力との戦闘を可能とするために、補給潜水艦の必要性が強調されたのです。

建造と艦歴

伊号351潜水艦は、計画名「マル追計画」に基づいて1943年に建造が開始され、1945年1月に竣工しました。本艦は、燃料補給のための設計が施されており、日本の潜水艦の中でも最大の排水量を誇っていました。戦争末期にはシンガポールから日本本土へ航空要員やガソリンを輸送する任務に従事し、特に南シナ海での活動が増えました。

5月1日にシンガポールに到着するなど活躍をしていましたが、7月14日に南シナ海でアメリカ海軍の潜水艦ブルーフィッシュに発見され、攻撃を受けて沈没しました。この攻撃により、艦乗員110名が戦死し、数名が救助されました。戦後、艦は正式に除籍されました。

潜水艦長

艦の指揮を執ったのは、複数の艦長であり、田上明次中佐、南部伸清少佐、岡山登少佐がその役割を担いました。特に岡山少佐は、艦の竣工から沈没までの間、艦長として指揮を執り、戦死認定された人物です。

同型艦について

伊号351潜水艦には同型艦として伊号352潜水艦が計画されましたが、こちらは最終的に空襲によって沈没する運命にありました。また、伊号353に関しては建造が中止とな得ました。このように、伊号351艦は戦争の厳しい状況の中で唯一の実戦配備された潜水艦として、多くの戦歴を刻んだ艦艇であると言えます。

結論

伊号第三百五十一潜水艦は、戦時中の日本海軍において重要な補給役割を果たし、戦争の激化の中でその存在価値を証明しました。航空機支援という新しい戦略の中で、潜水艦が果たす役割の重要性を示した事例として、海軍史に名を残しています。

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