伊号第三百六十三潜水艦

伊号第三百六十三潜水艦の歴史

伊号第三百六十三潜水艦（通称：伊363潜）は、大日本帝国海軍に所属する潜水艦であり、伊三百六十一型潜水艦の三番艦として建造されました。この艦は、回天攻撃隊にも参加し、戦後には触雷によって沈没しました。海軍では、略して「伊363潜」と呼ばれることもあります。

艦の建造と特徴

伊363潜は、1942年の改⑤計画に基づいて建造が計画され、1943年5月1日に呉海軍工廠で起工されました。その後、同年12月12日に進水し、1944年7月8日に正式に竣工しました。横須賀鎮守府籍に配属され、当初は第十一潜水戦隊に所属しました。

艦の設計は、先に竣工した「伊362潜」での経験が活かされています。特に、魚雷発射管から発生する艦首波の問題を解決するために整流覆が取り付けられました。この結果、発射管を使用することができるようになったのは、艤装員長であった荒木大尉のこだわりによるものでした。

艦歴

伊363潜は、さまざまな輸送任務に従事しました。1944年10月9日には、横須賀を出発し、トラックやメレヨンへの輸送任務を行いました。ここでは、衣類や糧食、重油など10トンの物資を揚陸し、さらに病人を収容しながら横須賀に帰投しました。12月にも南鳥島への輸送任務を遂行し、糧食や弾薬を揚陸しました。

1945年には再び南鳥島への輸送任務があり、続いて回天攻撃隊に改装されました。5月22日には回天特別攻撃隊「轟隊」が編成され、伊363潜は回天5基を搭載して出撃しました。6月15日には沖縄の南東500浬での目標に対して魚雷を発射し、命中音や誘爆音を確認したとの記録がありますが、実際の確認はされていません。

その後、伊363潜は多聞隊に参加し、8月8日にパラオ北方に向けて出発しました。しかし、ソ連の参戦を受けて日本海に戻ることになり、8月13日にはアメリカ戦闘機の攻撃を受けて負傷者が出ました。その後、修理のため佐世保に向かい、ここで終戦を迎えました。

艦は、10月27日にアメリカ軍の指示により佐世保へ向けて出港しましたが、悪天候の中で触雷し沈没しました。この事故により、艦長以下34名が命を落とし、生存者は1名のみでした。11月10日には除籍されています。

歴代艦長

この艦の艦長には、荒木浅吉大尉が1944年6月から1944年12月にかけて艤装員長として、さらに艦長も務めました。その後、木原栄大尉が艦長に任命されました。彼らの指導の下、艦はさまざまな任務を果たしました。

参考文献

本艦に関する情報は、戦後に発行された幾つかの文献に基づいています。例えば、雑誌「丸」や艦長たちの軍艦史などは、艦の詳細な歴史や運用に関する貴重な資料となっています。さらに、潜水艦史や艦艇全般を扱った書籍も多く、これらを通じて伊363潜の功績や役割を知ることができます。

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