伊号第十九潜水艦

伊号第十九潜水艦

伊号第十九潜水艦（いごうだいじゅうきゅうせんすいかん）は、大日本帝国海軍が運用した伊十五型[[潜水艦]]の3番艦です。太平洋戦争において、数々の作戦に参加し、戦果を挙げましたが、最終的には米軍の攻撃により沈没しました。

艦歴

起工から太平洋戦争開戦まで

1938年3月15日、伊号第十九潜水艦は三菱重工業神戸造船所にて起工されました。1939年9月16日に進水し、1941年1月31日には楢原省吾中佐が艤装員長に着任。同年4月28日に竣工し、同時に楢原中佐が艦長に着任しました。竣工後は横須賀鎮守府籍となり、第六艦隊第1潜水戦隊第2潜水隊に編入されました。

太平洋戦争開戦時は、第六艦隊第1潜水戦隊第2潜水隊に所属。1941年12月20日に横須賀を出港し、単冠湾を経由してハワイへと向かいました。真珠湾攻撃では、被弾した味方機の誘導を行い、その後マウイ島東方沖に進出。アメリカ西海岸沿岸での通商破壊作戦に参加しました。

アメリカ近海での通商破壊

1941年12月23日、サンタバーバラ北方にてアメリカのタンカーを攻撃しましたが、魚雷は命中しませんでした。12月25日には、木材運搬船を攻撃し撃破。積荷の木材の浮力により、辛うじて浮いていたものの、最終的には全損となりました。1942年1月には、真珠湾を偵察しようとしましたが、射出機が故障。修理中に米哨戒艇に発見され、攻撃を受けるも被害はありませんでした。

K作戦とアリューシャン作戦

1942年2月には、K作戦の支援と米第11任務部隊の迎撃のため出撃。フレンチフリゲート礁にて二式飛行艇に燃料補給を行い、その後横須賀へ帰還しました。同年5月には、アリューシャン作戦に参加し、ボゴスロフ島やダッチハーバーなどを偵察。多くの敵艦船の在泊を報告しました。

ワスプ撃沈

1942年8月10日、伊号第十九潜水艦は第2潜水隊司令潜水艦となりました。ソロモン諸島方面に進出し、8月23日にはSBDドーントレスの攻撃を受けましたが、被害はありませんでした。8月26日には、米機動部隊を発見しましたが、攻撃に失敗。しかし、その後の9月15日、空母ワスプを撃沈、戦艦ノースカロライナと駆逐艦オブライエンを撃破するという大戦果を挙げました。

偵察・輸送任務

1942年10月以降、伊号第十九潜水艦は偵察や輸送任務に従事しました。ヌーメアの偵察や、ガダルカナル島への輸送任務を行いましたが、その過程で搭載機を失うこともありました。

南太平洋での通商破壊

1943年3月以降、伊号第十九潜水艦は再び通商破壊任務に就きました。エファテ島東方沖や、スバ沖などで米リバティ船などを攻撃。撃沈や損傷を与える戦果を挙げました。

喪失

1943年10月17日、伊号第十九潜水艦はウェーク島近海に出現した米機動部隊の迎撃に向かいましたが、その後真珠湾へ向かうためクェゼリンに寄港。23日にクェゼリンを出港し、真珠湾の偵察を行いました。その後、ギルバート諸島に米軍が来襲したため迎撃に向かいましたが、10月25日に米駆逐艦ラドフォードの攻撃を受け、沈没しました。乗組員105名全員が戦死しました。

1944年2月2日、ギルバート諸島方面で亡失と認定され、4月30日に除籍されました。

戦績

伊号第十九潜水艦は、撃沈隻数5隻、計37,377トン、損傷を与えた艦艇や商船は3隻、計51,557トンにのぼります。その中でも、空母ワスプ撃沈は特筆すべき戦果です。

歴代艦長

楢原省吾 中佐（1941年1月31日 - 1942年7月15日）
木梨鷹一 少佐（1942年7月15日 - 1943年9月27日）
小林茂男 少佐（1943年9月27日 - 11月25日戦死）

登場作品

映画『1941』：アメリカ本土砲撃を目論む日本海軍の潜水艦として登場。

脚注

注釈

出典

参考文献

雑誌「丸」編集部『写真 日本の軍艦 第12巻 潜水艦』光人社、1990年。
外山操『艦長たちの軍艦史』光人社、2005年。
* 福井静夫『写真日本海軍全艦艇史』ベストセラーズ、1994年。

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