伊号第百七十九潜水艦

伊号第179潜水艦の歴史と運命

伊号第179潜水艦は、日本海軍における伊百七十六型潜水艦の4番艦です。この艦はその短いながらも波乱に富んだ歴史を持ち、特に第二次世界大戦中の日本海軍の活動に大きな影響を与えました。

艦歴

艦の起工は1941年8月21日、川崎造船所で行われました。その後、1942年7月16日に進水し、1943年6月18日に竣工を迎えました。竣工後、伊号第179潜水艦は佐世保鎮守府に籍を置き、第1艦隊第11潜水隊に編入されました。この艦は、その時代の日本海軍の最新鋭の一部として運用されることになったのです。

しかし、その運命は厳しいものでした。1943年7月14日、伊号第179潜水艦は国東半島沖で物資揚陸の訓練を実施していましたが、思わぬ事故が発生します。艦が急速浮上した際、前部の1番ベント弁が開放され、1番メインタンクの空気が抜け、各メインタンクへ水が注入されました。この結果、艦体は急速に沈下し、ハッチから浸水が発生、305トンの艦はそのまま沈没してしまいました。この事故により、艦長である湯浅弘少佐をはじめ、85名の乗組員が殉職しました。

この出来事は海軍にとって痛手であっただけでなく、潜水艦に関わる安全性の見直しを促す重要なきっかけとなったようです。

除籍と解体

1944年4月15日、伊号第179潜水艦は正式に除籍されます。その後、1956年4月から1957年3月1日にかけて、北星船舶工業によって浮揚され、最終的には呉で解体される運命を辿りました。このように、潜水艦の歴史は刻一刻と変化し、艦が地図上から消えていく様子は、当時の海軍にとって大きな悲しみをもたらしました。

歴代艦長

伊号第179潜水艦の艤装員長を務めたのは、湯浅弘少佐であり、1943年3月16日から任務に就いていました。同年6月18日から艦長に就任しましたが、わずか1か月後の沈没事故でその生涯を閉じることとなります。

参考文献

• - 雑誌「丸」編集部による『ハンディ版 日本海軍艦艇写真集19巻』、光人社、1997年。
• - 勝目純也の著書『日本海軍の潜水艦 - その系譜と戦歴全記録』、大日本絵画、2010年。
• - 海軍歴史保存会『日本海軍史』第7巻、第9巻、第10巻、第一法規出版、1995年。
• - 外山操の『艦長たちの軍艦史』、光人社、2005年。

このように、伊号第179潜水艦は日本海軍史の中で短いながらも、深く刻まれた艦の一つです。艦の歴史や、その運命を知ることが、当時の海軍の活動や艦艇の運用についての理解を深める手助けとなるでしょう。

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