伊庭氏

伊庭氏の概要

伊庭氏は、近江源氏の流れを汲む佐々木氏の支流にあたる武家氏族です。その祖は、佐々木経方の子である行実の四男、実高（出羽権守重遠）とされています。実高が近江国神崎郡伊庭邑に移り住み、この地名を氏としたのが始まりです。建久年間（1190年 - 1199年）には、実高によって伊庭城が築かれたと伝えられています。

伊庭氏の活躍

伊庭氏は、本家からは近江守護六角氏の重臣として、伊庭満隆や伊庭貞隆などの人物を輩出しました。彼らは、守護代を務めるなど、六角氏の重要な家臣として活躍しました。また、江戸時代には、伊庭貞勝の子である貞家が渡辺吉綱に仕え、伊庭氏は和泉伯太藩の代官として、近江における飛び地（西宿、虫生、峰前、竹村等5ヵ村三千石）を支配しました。

伊庭氏の系譜

実高以降、伊庭氏は、貞資、貞平、貞光、公貞、時高、氏貞、基貞、高貞、貞安、実貞、貞職、貞信、貞勝と14代にわたり続きました。貞勝は、蒲生郡桐原郷に移り住み、後に中小森で慶長12年（1607年）に没しました。貞勝の子の貞家は渡辺吉綱に仕え、代官として活躍しました。その後、貞經、貞式、貞基、式應、貞明、貞英、貞剛（正人）、貞剛と続き、実高から数えて25代目の子孫にあたる貞剛は、明治時代に住友本社に入社し、第2代総理事として住友財閥の基礎を築くという功績を残しました。伊庭氏の歴代の墓は、現在、近江八幡市にあります。

伊庭氏は、その歴史の中で、武家としての活躍だけでなく、江戸時代には代官として地域を統治し、明治時代には財界で大きな役割を果たすなど、多岐にわたる分野で歴史に名を刻みました。その足跡は、現代においても、その子孫によって大切に受け継がれています。

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