住友財閥

住友財閥：日本の歴史を彩る企業集団の興亡と継承

住友財閥は、三井、三菱と並ぶ日本三大財閥の一つとして、その名を歴史に刻んでいます。現在の住友グループへと発展したその歴史は、1590年、愛媛県新居浜市で創業された別子[[銅山]]に始まります。実に400年以上にわたる歴史を誇る住友グループは、世界でも最も古い歴史を持つ財閥の一つと言えるでしょう。

多様なルーツ：始祖、家祖、そして業祖

住友家の起源は、桓武天皇の曾孫である高望王の末裔、住友忠重にまで遡ります。室町幕府に仕えた武士であった忠重を始祖として、住友家はその後、家祖と業祖という2人の重要な人物を輩出します。

家祖である住友政友は、武士から僧侶を経て還俗し、京都で書籍と薬を扱う商家「富士屋」を創業。これが住友家の礎となりました。一方、業祖である蘇我理右衛門は、高度な銅精錬技術である「南蛮吹き」を駆使し、1590年に京都で銅吹所を開設。後に住友家の家業となるこの銅吹所は、住友家の発展に大きく貢献しました。興味深いことに、政友と理右衛門は姉婿という関係にあり、両家の血縁関係は、二代目の住友友以によってさらに強固なものとなります。

大阪への進出と江戸時代の隆盛

1690年、住友家は商業の中心地であった大阪に進出。東西横堀川と道頓堀、長堀に囲まれた島之内地区に大規模な銅吹所を建設し、住友家の本拠地としました。以降、「泉屋」の商号で銅銀商を営み、莫大な富を築き上げていきます。

二代目の友以は、先見の明を持ち、銅貿易にとどまらず、糸、反物、砂糖、薬種などの輸入品貿易にも参入。さらに両替商も開業するなど、事業を多角化していきました。その子である友信は住友吉左衛門と名乗り、秋田の阿仁銅山、備中の吉岡銅山などの経営に乗り出し、幕府御用の銅山師として、日本一の銅鉱業者へと成長させました。また、友以の末子である友貞は両替商を大坂と江戸で開始し、鉱業と金融業を統合したコンツェルンを形成します。

住友家の飛躍に大きく貢献したのが、四代目吉左衛門友芳による別子[[銅山]]の開発です。1691年に開発された別子[[銅山]]は、1973年の閉山まで282年間にわたって銅を産出し続け、住友財閥のドル箱として莫大な富をもたらしました。友芳は「中興の祖」として、住友家において高く評価されています。

明治維新と近代化への対応

明治維新は、住友家にとって大きな転換期となりました。幕府の特権が廃止され、土地所有権と鉱物採掘権が分離されたことで、住友家は大きな危機に直面します。しかし、広瀬宰平ら優れた経営者たちの尽力により、難局を乗り越え、近代企業へと変貌を遂げていきます。広瀬は、別子[[銅山]]を中心とした多角化経営を進め、神戸、大阪、京都など各地に事業を展開。製糸業、製銅業、船舶業など多岐にわたる事業を手がけるようになります。

住友家法と営業要旨：法治主義の確立

1891年、住友家は伝統的家業経営から近代企業経営への転換を図るため、「住友家憲」と「住友家法」を制定しました。特に「営業要旨」に謳われた「信用を重じ、確実を旨とする」という理念は、住友家の経営姿勢を象徴するものです。この家法は、三井や三菱とは異なる「法治主義」に基づく経営体制を確立することに繋がりました。

経営分離と多方面への進出

明治以降、住友の経営は、広瀬宰平、伊庭貞剛、鈴木馬左也ら優れた総理人によって支えられました。住友家当主は「君臨すれども統治せず」の姿勢を貫き、経営は総理人に委ねられました。銀行、倉庫、保険など多方面への事業拡大を遂げ、住友財閥はますますその勢力を拡大していきます。

財閥解体と住友グループの形成

第二次世界大戦後、住友財閥はGHQ（連合国軍最高司令官総司令部）による財閥解体を迎えました。住友は、自発的な解体を選択。傘下企業は独立し、住友という名称を社名から外すこととなりました。しかし、住友グループとしての結束は失われることはありませんでした。1949年、住友直系12社の社長によって構成される白水会が設立され、住友グループの結束は維持・強化されました。現在では、三井住友フィナンシャルグループなど、三井グループとの合併や提携も進んでいます。それでも、住友グループ全体の売上高は日本のGDPの約10％に達し、その影響力は依然として大きなものとなっています。

結束の住友：揺るぎない結束力

住友グループは「結束の住友」として知られています。安宅産業の破綻時、住友[[銀行]]の磯田一郎頭取の尽力により、グループ各社の支援で貴重な美術品の国内外への流出を防いだエピソードは、住友グループの結束力の強さを象徴的に示しています。

住友財閥の歴史は、単なる企業の興亡史にとどまりません。日本の近代化、そして現代社会の発展に大きく貢献した、日本の歴史を彩る重要な物語と言えるでしょう。現在も住友グループとして、多様な事業を展開し、日本の経済社会に貢献し続けています。

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