伊王島町

伊王島（いおうじま）

伊王島は、かつて長崎県西彼杵郡に属していた町で、現在は長崎市の一部となっています。長崎港の沖合に位置し、伊王島と沖之島の二つの島から構成されています。かつては炭鉱の島として栄えましたが、閉山後はリゾート地として開発が進み、現在は観光地として多くの人が訪れます。

地理

伊王島は、面積1.24平方キロメートルの伊王島と、面積0.94平方キロメートルの沖之島の二つの島からなります。この二つの島は非常に近く、幅約30メートルの伊王瀬戸で隔てられています。伊王瀬戸には、祝橋（伊王橋）、栄橋、賑橋の3つの橋が架けられており、島同士は陸続きとなっています。以前は、本土との交通手段は旅客船のみでしたが、2011年3月27日に伊王島大橋が開通したことで、車でのアクセスも可能になりました。伊王島は、島全体が釣りの適地として知られ、近年では長崎市近郊のリゾート地としての開発が進んでいます。

歴史

炭鉱の歴史

1941年（昭和18年）に炭鉱が開鉱され、最盛期の1962年（昭和37年）には、世帯数1,748、人口7,300人を数えるほど賑わいました。しかし、1972年（昭和47年）には炭鉱が閉山し、島の経済は大きな転換期を迎えます。

リゾート開発

1989年（平成元年）にはリゾート開発が始まり、人口減少に歯止めがかかるとともに、交流人口の拡大が期待されました。2011年（平成23年）の伊王島大橋開通は、本土からのアクセスを飛躍的に向上させ、観光地としての発展をさらに後押ししました。

行政区画の変遷

1889年（明治22年）の町村制施行により、伊王島村と沖ノ島村が合併し、西彼杵郡伊王島村が成立しました。1962年（昭和37年）には町制を施行し、伊王島町となりました。しかし、2005年（平成17年）1月4日に長崎市に編入され、自治体としての伊王島町は消滅しました。現在は長崎市伊王島町として、その名残をとどめています。

町名

伊王島町は、長崎市に編入される際に、大字が廃止され、丁目に改められました。かつての伊王島村大字伊王島は長崎市伊王島町1丁目となり、伊王島村大字沖之島は長崎市伊王島町2丁目となりました。現在、馬込、仲塩町、船津、大明寺の4つの自治会が存在します。

行政

伊王島には、長崎市役所伊王島地域センターがあり、地域住民の生活をサポートしています。教育機関としては、かつては伊王島町立の小中学校がありましたが、現在は長崎市の管轄となっています。

交通

伊王島へのアクセスは、長崎市中心部から伊王島大橋を経由して車で約30分です。また、長崎自動車のバスが、長崎市内から伊王島ターミナルまで運行しています。島内では、長崎市コミュニティバス伊王島線が運行しており、島民の足となっています。

以前は長崎港と伊王島の間を高速船が結んでいましたが、橋の開通により、バスの利用が増加しています。

名所・旧跡・観光スポット

俊寛僧都の墓

平家物語に登場する俊寛僧都が、流刑先のこの地で亡くなったという伝承があり、長福寺跡にはその菩提を弔う墓があります。

北原白秋の歌碑

俊寛僧都の墓の隣には、1935年（昭和10年）にこの地を訪れた北原白秋が詠んだ歌碑が建てられています。

馬込教会（沖ノ島教会）

正式名称は聖ミカエル教会で、多くの異称を持つこの教会は、1931年（昭和6年）に建てられたゴシック様式の天主堂です。国の登録有形文化財に指定されており、美しい建築様式が特徴です。

大明寺教会（聖パウロ教会）

1879年（明治12年）に建てられた旧教会堂は、愛知県の博物館[[明治村]]に移築されています。

伊王島灯台

1871年（明治4年）に日本最初の鉄造灯台として完成した伊王島灯台は、リチャード・ヘンリー・ブラントンの設計によるものです。長崎原爆で損傷しましたが、修復を経て、現在は六角形の姿で再建されています。隣接する「伊王島灯台旧吏員退息所」も、ブラントンの設計によるもので、日本最古の無筋コンクリート構造として知られています。

i+Land nagasaki

天然温泉を備えた宿泊・リゾート施設で、長崎港から高速船で19分、伊王島大橋経由で車で約30分の場所にあります。リゾートホテルとして人気があり、多くの観光客が訪れます。

伊王島海水浴場

美しい砂浜が広がる海水浴場があり、夏には多くの海水浴客で賑わいます。

伊王島を舞台とした作品

映画「家族」

主人公一家の出身地として、昭和45年当時の伊王島が登場します。

TVドラマ「さっちゃんウソついてごめんネ」

主人公が願いを叶えるために伊王島を訪れる物語です。

まとめ

伊王島は、炭鉱の歴史と美しい自然、そして独特の文化を持つ魅力的な島です。リゾート地としての開発が進む一方で、歴史的な遺産も大切に保存されており、観光客にとって訪れる価値のある場所と言えるでしょう。

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