伊田篤史

伊田篤史

伊田篤史（いだ あつし）は、1994年3月15日生まれ、三重県鈴鹿市出身の囲碁棋士。日本棋院中部総本部に所属し、九段の段位を持つ。馬場滋九段門下で、夫人は女流棋士の万波奈穂。

経歴

アマチュア五段の父親の影響で幼少期から囲碁に親しみ、小学校3年生の時に漫画「ヒカルの碁」を読んだことがきっかけでプロを目指すようになる。小学生時代から少年少女囲碁大会に出場し、2009年に日本棋院中部総本部に入段、プロ棋士としてのキャリアをスタートさせた。

2012年には、国際戦であるBCカード杯予選で勝利し本戦入り。2013年、第69期本因坊戦ではリーグ入りを果たし、同時に七段へ飛付昇段を果たす。10代での本因坊戦リーグ入りは史上初の快挙であった。

2014年、本因坊戦リーグで優勝し、挑戦者となる。20歳0ヶ月での挑戦は本因坊戦史上最年少記録。挑戦手合では井山裕太本因坊に敗れるも、その実力を示した。2015年には第53期十段戦で高尾紳路十段を破り、十段位を獲得。これは自身初の七大タイトルであり、入段から七大タイトル獲得までの最短記録を更新した。

2016年、六冠を達成していた井山裕太との十段戦では、井山の七冠独占を阻止するも、十段位を失冠。その後も王冠戦で5連覇を達成するなど、活躍を続けている。2021年には名人戦リーグ入りを果たし、2022年には九段に昇段。同年、天元戦で挑戦者となるも、タイトル獲得はならなかった。

棋風

伊田の棋風は、「厚く戦う」ことを基本とした本格派。粘り強い碁で、相手にプレッシャーを与え続ける。

主な記録

2015年：第53期十段位獲得
2015年：第62回NHK杯トーナメント優勝
2016年：第57期王冠位獲得
王冠位8連覇（2016年 - 2023年）
本因坊戦挑戦者（2014年）
天元戦挑戦者（2022年）

網走スベリ

2014年の第69期本因坊戦挑戦手合第3局で、伊田が打った手が「網走スベリ」として話題になった。通常は小ゲイマスベリのところを大ゲイマにスベったもので、対局地が網走市であったことから名付けられた。

大高目連打

2017年の第65回NHK杯2回戦では、初手と3手目で大高目に打つという珍しい打ち方を見せた。

伊田篤史は、若くして数々のタイトルを獲得し、常に囲碁界のトップを走り続けている棋士である。今後の活躍も大いに期待される。

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