スベリ

囲碁における「スベリ」とは

囲碁における「スベリ」とは、盤面の辺において、相手の石に対し、自分の石を低く（第一線あるいは第二線へ）滑り込ませるように打つ手のことを指します。「走る」と表現されることもあり、「二線へ走る」などと用いられます。通常、既にある第三線の石から第二線へ、あるいは第二線の石から第一線へ、ケイマや大ゲイマの位置に打つことが多いです。

スベリの重要性

二線へのスベリは、相手の地を荒らす手として、また自らの根拠を確保する手として、非常に大きな価値を持ちます。特に、辺の戦いにおいては、スベリが勝敗を左右することも少なくありません。

スベリの具体的な例

スベリは、定石の中にもよく現れます。例えば、以下のような場面でスベリが用いられます。

定石におけるスベリ
[画像：上左図] 白1がスベリの例です。
[画像：上右図] 白1、3がスベリの例です。
隅の生きを確保するスベリ
[画像：黒1のスベリ] 黒1のスベリによって、隅の一団の生きが確保されます。
連絡手段としてのスベリ
[画像：黒1のスベリ] 黒1のスベリによって、左右の石が確実に連絡します。

サルスベリ

一線へのスベリは、主にヨセの段階で打たれ、「サルスベリ」と呼ばれます。特に、大ゲイマにスベるのを「大ザル」、ケイマにスベるのを「小ザル」と称します。

大ザルの例
[画像：大ザルの例]

網走スベリ

2014年の第69期本因坊戦第三局、井山裕太本因坊対伊田篤史八段戦で、伊田八段が打った特殊なスベリが「網走スベリ」として話題になりました。通常、白がスベる場合はaの地点に打つことが多いのですが、伊田八段は1と一路遠い大ゲイマの位置へスベりました。この対局が北海道網走市で行われたことから、この手が「網走スベリ」と呼ばれるようになりました。このスベリは、通常の感覚とは異なる、非常に特殊なケースと言えるでしょう。

スベリを学ぶための参考書籍

さらにスベリについて詳しく学びたい方は、以下の書籍を参考にしてください。

石井邦生『スベリ専科（烏鷺うろブックス）』日本棋院、ISBN 9784818202955

まとめ

スベリは、囲碁において非常に重要なテクニックの一つです。相手の石の配置や、盤面の状況に応じて適切なスベリを打つことで、有利に試合を進めることができます。この記事を参考に、スベリの理解を深め、囲碁の腕を磨いていただければ幸いです。

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