伊百五十六型潜水艦

伊百五十六型潜水艦

伊百五十六型潜水艦（いひゃくごじゅうろくがたせんすいかん）は、大日本帝国海軍で採用された潜水艦の一級であり、海大III型bとも呼ばれています。この艦級は合計5隻が建造され、そのうちの1隻は戦前に事故で沈没し、さらに1隻が戦争中に戦没しました。残った3隻は戦後、海に沈められました。

概要

伊百五十六型は、巡洋潜水艦の設計を取り入れており、従来の海大III型aモデルから進化を遂げています。この艦級の特性として、艦首は鋭角に設計され、これにより凌波性が向上しました。そのため、艦全体の長さは約40センチメートル長くなった仕組みです。また、艦橋や艦尾のデザインにも改良が施されていますが、基本的な兵器や性能に関しては前モデルとほぼ同様です。設計方法は、アメリカやイギリスのフィート・ポンド法からドイツのメートル法に切り替えられたことも特徴的です。

この艦級は1923年度の計画に基づいて建造され、昭和3年から昭和5年（1928年から1930年）にかけて5隻が竣工しました。これらは特に日本の海軍力を支える重要な存在でした。

戦歴

戦歴としては、伊63が開戦前に事故で沈没したため、残念ながら戦闘歴は存在しません。太平洋戦争の初期には通商破壊任務を行い、その中で伊60が戦没しました。残りの3隻は1942年のミッドウェー海戦に参加した後、呉で練習潜水艦に転用されました。特に伊156と伊157は1943年にキスカ島への輸送任務に従事しましたが、その他の艦は終戦まで練習用として使用され、戦後は海に沈められました。

同型艦

伊百五十六型に属する艦は、1942年5月20日に改名され、艦番号に100が加わりました。具体的には次のような艦が存在しました。

• - 伊号第百五十六潜水艦：1929年3月31日竣工、1946年4月1日五島列島沖で海没処分。
• - 伊号第百五十七潜水艦：1929年12月24日竣工、1946年4月1日五島列島沖で海没処分。
• - 伊号第百五十九潜水艦：1930年3月31日竣工、1946年4月1日五島列島沖で海没処分。
• - 伊号第六十潜水艦：1929年12月24日竣工、1942年1月17日に英駆逐艦との交戦でスンダ海峡で沈没。
• - 伊号第六十三潜水艦：1928年12月20日竣工、1939年2月2日に伊60と交衝し沈没。

潜水隊の変遷

伊百五十六型の艦は第十九潜水隊や第二十八潜水隊に所属し、数々の戦闘任務を果たしました。第十九潜水隊は呉鎮守府に所属し、最初は伊56、伊57、伊58の3隻で編成されていました。この部隊は、インド洋などで活動し、主に訓練任務を担っていました。一方、第二十八潜水隊には伊59、伊60、伊63が編成され、これらも戦争中に重要な役割を果たしましたが、災害や戦没により艦隊活動は次第に減少していきました。

まとめ

伊百五十六型潜水艦は、大日本帝国海軍の歴史において重要な役割を果たした艦級です。その設計の進化や戦歴、同型艦の動向などは、日本の海軍力の一端を物語るものとなっています。残りの艦が戦後に処分されてしまったことは、艦の栄光の一片を惜しむ部分でもあります。

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