伊百六十二型潜水艦

伊百六十二型潜水艦（いひゃくろくじゅうにがたせんすいかん）

概要

伊百六十二型潜水艦は、大日本帝国海軍に属する潜水艦の一種で、海大IV型とも呼ばれます。この艦級は3隻が建造され、事故沈没1隻、戦没1隻、戦後に処分された艦が1隻存在します。1923年度の計画で建造された12隻の潜水艦群のうち、最後の3隻として位置づけられています。これらの艦は、1929年から1930年にかけて竣工しました。

この艦級の特徴は、前型の海大3型bからエンジンの変更が行われたことにあります。ズルツァー式ディーゼルエンジンから、ドイツMAN社が設計したラウシェンバッハ式ディーゼルエンジンに切り替えられました。船体の形は前型と大きく変わることはありませんでしたが、全長は約3メートルほど短くなり、魚雷発射管の数も減少しました。艦首には4門、艦尾には2門の魚雷発射管が設けられ、総魚雷数も16本から14本に減少しました。また、水中での最高速力は8.5ノットとなり、前型よりも0.5ノット速くなっています。

戦歴

伊百六十二型潜水艦の戦歴は決して平坦ではありませんでした。1941年に伊61が訓練中に沈没してしまい、残った2隻は太平洋戦争において通商破壊作戦に従事しました。しかし、伊164は1942年に戦没し、残った伊162は戦争の終結を迎えるまで生存し、1944年以降は内地での練習艦として利用されました。終戦後、伊162は海没処分されました。

同型艦

この艦級には3隻の同型艦が存在します。

• - 伊号第六十一潜水艦: 1929年に竣工し、1941年に事故で沈没しました。
• - 伊号第百六十二潜水艦: 1930年に竣工し、戦後に海没処分されました。
• - 伊号第百六十四潜水艦: 1930年に竣工しましたが、1942年に攻撃を受けて沈没しました。

これらの艦は1942年に改称され、艦番に100が加えられました。

潜水隊の変遷

伊百六十二型は同型艦3隻からなるため、これらの艦艇で1個潜水隊が編成されました。佐世保鎮守府に配備され、固有番号が与えられて第29潜水隊として活動しました。

第二十九潜水隊の編成

昭和5年4月24日、伊61と伊62の2隻で構成され、遅れて竣工した伊64が後に参加しました。昭和16年初頭には、伊61が事故により失われ、残る2艦は太平洋戦争の戦闘に従事しました。

その後、伊62と伊64はそれぞれ第28潜水隊と第30潜水隊に編入され、これにより第29潜水隊は解隊されました。戦争の厳しい運命の中でも、伊162号は練習艦として生き残り、戦後の処遇を迎えました。

別の視点からの考察

伊百六十二型潜水艦は、特に技術の進化と海軍の戦略的変化を反映した艦級として注目すべきです。エンジンの改良は当時の海軍の要求に応じたものであり、鬼のような艦隊運用の時代には不可欠な存在だったといえます。結果として、海軍の潜水艦戦力の一翼を担い、戦争の激動の中で重要であったことを示しています。

もう一度検索