伊福吉部徳足比売

伊福吉部 徳足比売について

概要

伊福吉部徳足比売（いふくべ/いふきべ/いおきべ の とこたりひめ）は、飛鳥時代に活躍した女性であり、国の史跡に指定されている彼女の墓が注目を集めています。生年は不詳で、和銅元年7月1日（708年7月22日）に病を得て藤原京で亡くなりました。彼女の遺骨は、因幡国の稲葉山に葬られ、その経歴は重要な歴史的資料として扱われています。

出自と経歴

徳足比売は、因幡国に位置する豪族・稲葉国造の娘として生を受けましたが、彼女の父母については詳しい情報が残っていません。彼女が采女として文武天皇に仕官したことから、当時の伊福部氏が氏族として権力を持っていたことが推測されます。701年、慶雲4年には、地方豪族出身としては異例な従七位下の地位が授与されました。このことは、彼女の社会的地位の高さを示しており、また采女としての役割の重要性も浮き彫りにしています。

徳足比売の死後、その遺体は3年間の殯の後、当時流行し始めた火葬の儀式に従い、遺骨は因幡国に運ばれ、稲葉山の中腹に葬られました。この墓の存在は、後世に彼女の名前とともに伝えられることとなります。

墓跡と墓誌銘

江戸時代の安永3年（1774年）、無量光寺の裏山で見つかった石櫃の中には、徳足比売の遺骨が納められていました。蓋石は、長さ140cm、幅86cm、厚さ47cmで、凝灰岩から作られています。特に、蓋の表面には108文字が刻まれており、これには徳足比売の経歴や葬送に関する詳細が記載されていました。伊福吉部徳足比売の墓誌は、因幡国で発見された最古の文字資料としても注目されています。

墓跡は国の史跡に指定され、骨蔵器は重要文化財として国の代表的な逸品に認定されています。また、これらは地方豪族層の女性の葬送儀礼を理解する貴重な資料とされており、歴史的価値が高いと評価されています。現在、骨蔵器は東京国立博物館に保管され、一般公開されています。

文化的意義

伊福吉部徳足比売の史跡や資料は、飛鳥時代の社会状況や女性の地位についての貴重な手がかりを提供してくれます。彼女の名を冠した「因幡万葉歴史館」では、徳足比売に関する資料が展示され、彼女の生活や文化などについての理解が深められています。

このように、徳足比売の存在は、彼女の時代の重要性を示すものであり、さらなる研究の必要性を感じさせる歴史的な証拠とも言えるでしょう。

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