伊藤信徳

伊藤信徳（いとう しんとく）は、寛永10年（1633年）に生まれ、元禄11年10月13日（1698年11月15日）に没した江戸時代前期の俳人です。通称は助左衛門、梨柿園や竹犬子といった別号も持っていました。一説には、姓は山田とも伝えられています。

経歴と人物

京都の裕福な商人の子として生まれた伊藤信徳は、幼少の頃から家業のために全国を頻繁に行脚しました。正保元年（1645年）頃、貞門派の俳人である高瀬梅盛に師事し、俳諧の世界に入ります。

その後、菅野谷高政や田中常矩らに師事し、談林派へと転じました。江戸では松尾芭蕉や山口素堂といった著名な俳人たちと親交を深め、互いに影響を与え合いました。延宝5年（1677年）には、芭蕉、素堂との共著である『江戸三吟』を執筆し、翌延宝6年（1678年）に刊行しました。

『江戸三吟』の刊行後も、芭蕉の作風に影響を受けながら俳諧を学び、数多くの著書を世に送り出しました。元禄の頃には、池西言水や、信徳と同じく梅盛門下であった斎藤如泉、三上和及、中尾我黒らと共に、京都における代表的な俳諧師として知られるようになりました。

主な著作物

代表的な著書
『江戸三吟』 - 延宝6年（1678年）刊行。松尾芭蕉、山口素堂との共著。
その他の著書
『信徳十百韻』 - 延宝元年（1673年）成立。
* 『七百五十韻』 - 天和元年（1681年）成立。

伊藤信徳は、貞門派から談林派へと作風を変化させながら、松尾芭蕉をはじめとする多くの俳人たちと交流し、江戸時代の俳諧文化の発展に貢献しました。彼の作品は、当時の社会や文化を反映しており、俳諧史研究においても重要な位置を占めています。

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