伊藤博文 (棋士)

伊藤博文七段：将棋人生の軌跡

1960年生まれの伊藤博文七段は、日本のプロ将棋棋士である。奈良県大和高田市出身、伊達康夫八段門下、棋士番号166番。中学時代から将棋に傾倒し、奨励会入会を経てプロ棋士としての道を歩んだ。

奨励会時代とプロデビュー

14歳で奨励会に入会。初段昇段後、二段昇段に苦戦する時期もあったが、1980年8月、王位戦の記録係を務めたことが転機となり、その後順調に昇段を重ね、1984年8月、四段昇段を果たしプロデビュー。同期の小林宏六段との四段昇段を巡るエピソードは、将棋界において有名な逸話として語り継がれている。両名が同時に四段昇段したため、昇段順を決める「登録順位決定戦」が行われ、伊藤七段が勝利したことで、棋士番号は伊藤が166番、小林が167番となった。

プロ棋士としての活躍

プロ入り後は、順位戦を中心に活躍。師匠である伊達康夫八段との師弟対決を制したこともあった。順位戦ではC級2組で最高位6位を記録するなど、活躍を見せた。しかし、その後は降級を繰り返すこととなり、フリークラスに降級。それでも2001年、フリークラスからC級2組への復帰を果たす快挙を達成した。これは、伊奈祐介氏に次ぐ2例目であり、フリークラス降級後の復帰は史上初であった。

伊藤七段は、NHK杯将棋トーナメントにも複数回出場。特に2016年度の出場は、出場者中最年長棋士として話題を呼んだ。

竜王戦では、第1期から参加。長らく5組に在籍していたが、第20期（2007年度）に残留決定戦で敗れ、6組に降級した。

棋風と人物像

伊藤七段の棋風は、特定の戦法に固執せず、相手や状況に応じて臨機応変に戦術を変化させるのが特徴。アマチュアへの指導にも熱心で、関西以外への指導にも積極的に出向くなど、人望も厚い。

2004年には、テレビ番組「トリビアの泉」の企画で安用寺孝功氏と史上初めての大局将棋対局を行い、3805手32時間41分に及ぶ激戦を繰り広げた。

引退

2020年3月末にフリークラス在籍期限を満了。同年5月26日、公式戦最後の対局を終え、現役を引退。通算成績は313勝498敗、勝率は0.3859。

エピソード

伊藤七段は、「終盤の話術師」と評されるほど、終盤の読みと交渉術に長けていた。また、棋士番号が前後する伊藤博文と小林宏は、奨励会三段当時、同じ時期に四段昇段を果たしたという、稀有なエピソードを持つ。

まとめ

伊藤博文七段は、長く将棋界で活躍した棋士である。その棋風、人柄、そして数々のエピソードは、将棋ファンにとって、長く記憶に残るものとなるだろう。彼の将棋人生は、努力と才能、そして人との繋がりによって彩られた、輝かしいものだったと言える。

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