伊藤彰 (サッカー選手)

伊藤 彰（いとう あきら）氏は、1972年9月19日に埼玉県新座市で生まれた日本の元サッカー選手であり、現在はサッカー指導者として活動しています。現役時代は主にフォワードやミッドフィールダーとしてピッチを駆け巡りました。

選手としてのキャリア

伊藤氏の選手としての歩みは、地元の武南高校で始まりました。攻撃的ミッドフィールダーとしてチームを牽引し、1989年の全国高校サッカー選手権大会では準優勝という輝かしい成績を収めています。高校卒業後は国士舘大学へ進学し、サッカー部で腕を磨きました。大学時代の同期には、後にプロの世界でも活躍する深川友貴氏がいました。

大学を卒業後、伊藤氏は社員選手という形で富士通に入社し、ジャパンフットボールリーグに所属していた富士通サッカー部の一員となりました。1997年に同サッカー部が川崎フロンターレへと改称され、Jリーグ準会員となった後も、アマチュア契約の社員選手のままチームに留まります。1998年にはレギュラーの座を掴み、J1参入決定戦の初戦で貴重な先制ゴールを挙げるなど、チームの躍進に貢献しました。

クラブがJ2リーグに舞台を移した1999年も引き続き川崎でプレー。この年はチームのJ1昇格に大きく貢献し、キャプテンを務めていた中西哲生氏からは「アマチュア選手でありながら、サッカーに対して真摯でプロ意識が高い選手」と称賛されるほどの存在感を示しました。主力として、また時にはスーパーサブとしても重要な役割を果たしましたが、チームはわずか1年で再びJ2降格を喫します。2001年のシーズン終了後には戦力外通告を受けますが、その直後に行われた天皇杯ではチームの準決勝進出に貢献。「リストラされた選手の奮闘」として注目を集めました。

2002年、伊藤氏は富士通を退社し、プロ契約選手として大宮アルディージャに移籍します。その後、2004年にはサガン鳥栖、2005年からは徳島ヴォルティスへと活躍の場を移しました。川崎時代を含め、合計4つのクラブで7シーズンにわたりJ2リーグでプレー。各チームで主軸選手として活躍しましたが、所属クラブの体制刷新や若返りの方針により、短期間での退団が続くこととなりました。

指導者としてのキャリア

2007年1月に現役を引退した伊藤氏は、指導者への道を歩み始めます。古巣である大宮アルディージャのU-12コーチに就任し、その後ジュニアユースコーチ、ジュニアユース監督、さらにはユース監督と、大宮の育成部門で手腕を振るいました。ユース監督時代の2015年にはJFA 公認S級コーチ|JFA_公認S級コーチライセンスを取得。ライセンス取得のためのJクラブでの研修では、風間八宏氏の指導法を学ぶため、当時風間氏が指揮していた川崎フロンターレのトップチーム練習に参加しています。

2016年シーズンからは大宮トップチームのコーチを務めていましたが、2017年5月に成績不振を理由に監督が解任された後を受け、トップチームの指揮官に就任しました。しかし、チーム状況は好転せず、降格圏を抜け出せないまま、同年11月に監督の座を解かれます。

2018年からはヴァンフォーレ甲府のヘッドコーチに就任し、同年12月には監督に昇格しました。甲府ではチームを着実に強化し、2018年のJ2・9位から、2019年には5位でJ1参入プレーオフに進出。その後も2020年に4位、2021年に3位と、就任以降J2でのチーム最高順位を更新し続ける手腕を見せました。

甲府での成功を経て、2021年12月に甲府監督を退任。2022年シーズンからはジュビロ磐田の監督に就任することが発表されましたが、チームはJ1リーグで苦戦を強いられ、同年8月の浦和レッズ戦での大敗を経て、わずか約8ヶ月で契約を解除されることとなりました。

同年9月にはベガルタ仙台の監督に就任。J2での指揮となりましたが、翌2023年7月、再び成績不振により契約解除となり、チームを離れることになります。

2024年シーズンからはツエーゲン金沢のトップチーム監督に就任しましたが、ここでもチームは成績が振るわず、2025年6月、シーズン半ばでの契約解除となりました。短期間での指揮が続いている状況です。

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