伊藤律

伊藤律の生涯と業績

概要

伊藤律（いとう りつ、1913年6月27日 - 1989年8月7日）は、岐阜県出身の日本の政治運動家であり、元日本共産党の政治局員です。彼は若い頃から神童としての才能を発揮し、中国名は「顧青」として知られることもありました。

幼少期から共産青年同盟時代

伊藤は広島県生まれで、父の仕事の関係で岐阜県瑞浪市に移り住みました。彼は幼少期から優れた知識欲を示し、旧制岐阜県立恵那中学校を経て第一高等学校に進みます。彼は同校で社会主義に関心を持ち、読書会を主催するなど、早くから政治運動に関与しました。1931年には共産青年同盟に加盟し、政治活動を活発化させ、印刷物の作成や配布に従事しました。

その後、彼は特別高等警察の取り締まりを受け、1932年には地下活動を余儀なくされました。その後も東京商業大学での活動を通じて、共産青年同盟の組織を拡大させていきましたが、警察による検挙で活動は困難を極めました。

共産党との関わり

伊藤は1933年に正式に日本共産党に入党し、中央事務局長に就任しましたが、同年中に再び検挙されてしまいます。彼はその後、裁判を経て有罪判決を受けるも、再び政治活動を続けます。伊藤が労働現場に身を置き、農業経済の研究に取り組む中で、彼の政治的視点は次第に具体的な経験に基づくものへと変化していきました。

1938年からは組織活動に力を注ぎ、戦術として職場を中心としたアプローチを取ることにしました。彼の活動は、特に世田谷区などで幅広い支持を受けるようになりました。

戦後の活動と除名

戦後、共産党の再建に尽力した伊藤は、書記長になるなど党の重職に就きました。しかし、1949年のゾルゲ事件に関する調査が進むにつれ、彼は党内での立場が危うくなっていきます。1950年、共産党が分裂する中で、伊藤は所感派に属し、さらに厳しい批判にさらされるようになりました。

彼は1951年以降地下に潜行し、1952年には中国へ移住。中国において、彼は新たな役割を果たし、顧青という名前で知られましたが、党の内部抗争に巻き込まれ投獄されるに至ります。伊藤は自身が無実であることを主張し続けましたが、1955年には除名され、彼の名声は地に落ちることとなりました。

帰国と晩年

1979年、文化大革命が終息を迎えると、伊藤は中国政府によって釈放され、1980年には日本に帰国しました。帰国後も彼は元党員としての立場を揺るがす批判を受けながら、その記録を残しました。彼は自身の経験について書き、また多くの講演や証言を通じて自らの立場を主張しました。

1989年8月7日、伊藤は腎不全により76歳で亡くなりましたが、歴史の中での彼の役割や評価については未だに議論が続いています。

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