伊藤整文学賞

伊藤整文学賞について

伊藤整文学賞（いとうせいぶんがくしょう）は、1990年に設立され、地元小樽市を代表する文学者伊藤整の没後20年を契機に誕生しました。この文学賞は、小説と評論の2つの部門を設け、毎年4月1日を基準日として、その前の年度に発表された日本語で書かれた作品から受賞作品を選出します。受賞者には斎藤吉郎作のブロンズ像「カモメ呼ぶ少女」とともに100万円の副賞が贈呈されます。

主催は、伊藤整文学賞の会（会長：井上一郎）、小樽市、そして北海道新聞社からなります。事務局は小樽市教育委員会に所在しており、地元の文学を活性化させる重要な役割を果たしています。

受賞歴

伊藤整文学賞には、多くの著名な作家が受賞しており、その中には大江健三郎、三浦哲郎、日野啓三などが名を連ねています。賞の成立から2014年までの受賞作は、以下のように多岐にわたるテーマやスタイルの作品が選ばれています。

• - 第1回（1990年）

小説：大江健三郎『人生の親戚』
評論：秋山駿『人生の検証』

• - 第2回（1991年）

小説：三浦哲郎『みちづれ』
評論：佐木隆三『身分帳』

• - 第3回（1992年）

小説：日野啓三『断崖の年』
評論：川村二郎『アレゴリーの織物』

• - 第10回（1999年）

小説：河野多惠子『後日の話』
評論：多田道太郎『変身 放火論』

• - 第25回（2014年）

小説：佐伯一麦『渡良瀬』
評論：黒川創『国境［完全版］』

このように、伊藤整文学賞は日本の現代文学において重要な意義を持つ賞として評価されています。

終了とその背景

しかし、2012年10月に小樽市の財政難を背景に、2014年の第25回をもって賞を終了することが発表されました。同年には伊藤整文学賞の会が北海道新聞文化賞特別賞を受賞しています。最後の第25回では受賞作が発表され、授賞式は2014年6月13日に小樽市で開催され、この日をもって伊藤整文学賞の全ての活動が完了しました。

選考過程

伊藤整文学賞の選考委員は、その回ごとに異なるメンバーが入れ替わりながら構成されてきました。初期のころには井上靖、大庭みな子、菅野昭正などが選考に関与し、その後はさまざまな著名な作家や評論家が参加しました。選考のプロセスは、特に作品の質や影響力を重視し、選考委員による厳しい審査が行われてきました。

まとめ

このように、伊藤整文学賞は小樽市の文化を象徴する重要な賞であり、数多くの文学作品に対して光を当ててきました。文学界への大きな貢献を果たしつつ、その活動を終了したことは、多くの文学愛好者にとって残念なニュースでもありました。今後も、伊藤整の名を冠したこの賞が若手作家たちに影響を与え続けることを期待しています。

もう一度検索