伊藤梅宇

伊藤梅宇

伊藤梅宇（いとう ばいう、天和3年8月19日（1683年10月9日） - 延享2年10月28日（1745年11月21日））は、江戸時代中期の儒学者として知られています。彼は、古学の大家である伊藤仁斎の次男であり、兄に東涯、弟に介亭、竹里、蘭嵎がいます。伊藤梅宇は、父の学問を深く理解し、それを後世に伝えることに尽力しました。

生涯

梅宇は京都で生まれました。幼少の頃から父である仁斎の塾で学び、儒学の基礎を築きました。23歳の時に父が亡くなると、長兄である東涯を助け、弟たちの指導にあたりました。正徳5年（1715年）、33歳の時に徳山藩に仕官しますが、翌年の2月には職を辞し、京都に戻ります。

享保3年（1718年）、福山藩に儒臣として仕え、妻子と共に移住し、30口の俸禄を受けました。翌年には、藩主・阿部正福が朝鮮使節の接待を命じられた際、使節の求めに応じて父の著作である『童子問』を贈呈しました。さらに、韓聘接談の役目を務め、仁斎が創始した堀川学派の主要テキストである『論語古義』、『中庸発揮』、『大學定本』、『古学指要』などを贈りました。これらの活動を通して、伊藤梅宇は福山藩における学術の振興に大きく貢献しました。

享年63歳で亡くなり、備後福山（現在の広島県福山市）の定福寺に葬られました。彼の学問に対する情熱と貢献は、後世にまで語り継がれています。

長男・輝祖から代々、福山藩に仕え明治に至りました。

著作

現存する唯一の著作として、随筆集『見聞談叢』六巻が残されています。これは、当時の社会や文化、人々の生活を知る上で貴重な資料となっています。その他、名前のみが知られている著作には、以下のようなものがあります。

『著文集』十巻
『志林』二巻
『講学日記』十二巻
『相遺窩詩稿』三巻
* 『梅宇文稿』五巻

これらの著作は、伊藤梅宇の学問的探求の深さを示すとともに、彼の思想や学風を理解するための重要な手がかりとなります。

伊藤梅宇は、父である伊藤仁斎の学問を受け継ぎ、それを発展させるとともに、多くの人々に影響を与えた儒学者でした。彼の業績は、江戸時代の学術文化を理解する上で欠かせない要素です。

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