阿部正福

阿部正福の生涯と治世

阿部正福（あべ まさよし）は、江戸時代中期の大名で、備後国福山藩の第2代藩主とされています。彼は従四位下の官位を持つ伊勢守であり、阿部家の宗家の6代目として、特筆すべき治世を築きました。

生い立ちと家督相続

正福は、福山藩の初代藩主である阿部正邦の四男として江戸藩邸で生まれました。1713年に第7代将軍である徳川家継に御目見えし、1715年には父の死去により、わずか16歳で家督を継ぐことになります。彼は1748年までの34年間、藩主としての職務を果たしました。この在任期間は、阿部家においては正倫に次ぐ長さでした。

農政と地域政策の展開

正福の治世の初期には、父の正邦が築いた藩制を引き継ぐはずでした。しかし、襲封して3年目の1717年には、藩全域で百姓一揆が発生し、藩の安定を脅かす事態となりました。さらに、朝鮮通信使の接待や、1721年の芦田川の氾濫など、困難な状況が続きました。

正福は農政において、農民層の分化問題、特に没落農民の増加による格差の拡大に対して敏感でした。彼はその主な原因を元禄時代の増税ではなく、村役人の不正や浪費に見て、綱紀粛正を目指しました。また、農民が極度に零細化しないように、分地や結婚年齢の制限を設け、農民層の安定を図ろうとしました。これらの施策には一定の成果があったものの、1732年の享保の大飢饉によって経済的打撃を受け、努力は台無しにされてしまいます。

財政の苦境と老中登用

1742年には利根川の氾濫による修復工事を指示し、これもまた財政的な負担となりました。しかし、延享2年（1745年）には、47歳で老中の登竜門である大坂城代に就任します。正福のこの就任は、阿部氏が幕閣での名門としての地位を確立するための重要なステップとなりました。

隠居と死

延享4年（1747年）に病気を理由に大坂城代を辞任し、1748年に次男の正右に家督を譲って隠居生活に入ります。その後も長命で、1769年に70歳で死去しました。彼の墓地は、まず西福寺に設けられ、その後谷中墓地へと改葬されました。

家族

正福の家族には、正室として松平定直の娘、継室として島津吉貴の養女がありました。子女については、次男の正右をはじめ、長男の酒井忠雄、四男の米津田恒、七男の安藤定振、八男の阿部正至など、数人がいました。正福の子孫はその後も藩主家としての地位を保ちました。

結論

阿部正福は多くの困難に直面しながらも、その治世において持続的な農政改革を試み、藩の安定を図りました。今なお、彼の施策や努力は評価されています。

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