伊藤裕彰

伊藤 裕彰（いとう ひろあき）

日本の映像業界で活動する映画監督です。1955年に神奈川県で生まれました。その経歴は、1973年に慶應義塾高等学校を途中で辞めたことから始まります。その後、横浜放送映画専門学院（現在の日本映画大学）に入学し、映像制作の道を本格的に歩み始めました。この専門学院では、著名な映画監督である前田陽一に師事し、映画製作の基礎や技術を学びました。また、同学院の2期生として、映画監督の細野辰興、脚本家の河本瑞貴、そして編集技師の只野信也や阿賀英登といった、後に各分野で活躍する多くの仲間たちと共に研鑽を積みました。

専門学院卒業後、伊藤裕彰はまず助監督としてキャリアをスタートさせます。この時期に、人気テレビドラマシリーズ『あぶない刑事』（1986年）や、その関連劇場版である『あぶない刑事』（1987年）に助監督として参加しました。さらに、『あきれた刑事』（1987年）、『いこかもどろか』（1988年）、『六本木バナナ・ボーイズ』（1989年）といった作品でも助監督を務め、現場での経験を積んでいきました。

助監督として確かな実績を積んだ後、1989年には劇場用映画『オルゴール』で監督デビューを果たします。同年には『ウォータームーン』も監督し、精力的に活動を開始しました。その後も、『撃てばかげろう』（1991年）、『泣きぼくろ』（1991年）と続けて劇場用映画を監督しました。1990年代後半には、『だんご三兄弟を歌おう!!』（1999年）といった企画作品も手掛けています。2000年代に入ってからもその活動は続き、『CHANGE THE WORLD!』（2005年）やオムニバス形式の『メールで届いた物語』（2005年）を監督しました。

劇場用映画だけでなく、1990年代にはオリジナルビデオ（OV）の分野でも多数の作品を監督しました。代表的なOV作品としては、人気シリーズとなった『となりの凡人組』三部作（1993年、1994年、1994年）があります。その他にも、『女教師日記2 暴かれた性』（1996年）、『あやしい人妻 テレクラ・リポート』（1996年）、『狙われたアイドル 実録ストーカー』（1997年）といった作品や、人気漫画を原作とする『今日から俺は!! 嵐を呼ぶ十七才』（1997年）、『今日から俺は!! ガッツだぜ十七才』（1997年）、そして『BE-BOP HIGHSCHOOL』シリーズより『頂上作戦・不良狩り篇』（1998年）と『血染めの学ラン・殉愛篇』（1998年）、さらに『新・静かなるドン4』（1998年）など、多岐にわたるジャンルのOV作品を手掛けています。

テレビドラマの分野でも、伊藤裕彰は監督や演出として活躍しています。助監督として参加した『あぶない刑事』（1986年）や『あきれた刑事』（1987年）を経て、1992年には『俺たちルーキーコップ』で監督を務めました。また、人気シリーズである『静かなるドン』では、1994年に演出、1995年には『静かなるドン・リターンズ』の監督・演出を担当しました。1999年には『夜逃げ屋本舗』でも演出を手掛けるなど、テレビドラマの世界でもその手腕を発揮しました。

このように、伊藤裕彰は助監督としてキャリアをスタートさせた後、劇場用映画、OV、テレビドラマと、映像メディアの様々な分野で監督・演出を手掛けてきました。アクション、コメディ、ドラマなど、多様なジャンルに対応できる演出家として、日本の映像業界において多くの作品に貢献しています。その幅広い活動は、彼が持つ多才な演出力と、多様なニーズに応える柔軟性を示しています。特に1990年代から2000年代にかけては、OV市場の隆盛期に数多くのヒットシリーズや話題作を監督し、その基盤を築いた一人と言えるでしょう。現在もその後の活動については注目されています。

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