伊藤雅二

伊藤雅二の生涯と業績

伊藤雅二（いとう まさじ、1905年8月29日 - 1990年10月28日）は、日本の剣道界で著名な存在であり、警視庁で長いキャリアを積み、剣道の発展に寄与しました。彼は範士九段の段位を持ち、数々の重要なポジションを歴任しました。特に、警視庁剣道副主席師範を務めたことは、彼の剣道指導者としての実力を証明しています。また、退職後も全日本剣道連盟や東京都剣道連盟、さらには目黒区及び青梅市の剣道連盟で顧問や審議員として活躍しました。

経歴

伊藤は千葉県匝瑳郡（現・匝瑳市）で生まれました。小学校6年生の時に親戚である伊藤吉勝の手ほどきを受けて不二心流の剣道を始めました。1920年、匝瑳普通学校に入学後は、高野佐三郎の弟子である細井寿作から剣道の指導を受けました。それからの数年間、彼は技術を磨き続けました。

1926年に警視庁に奉職し、1931年には第6回明治神宮体育大会の剣道競技に東京府代表として出場し優勝。これにより恩賜の短刀を授与されました。この勝利は彼の剣道キャリアの重要な転機となりました。

その後も彼は警視庁内でのキャリアを順調に積んでいきます。1936年には剣道助教に拝命し、数名の名剣士から指導を受けることになります。また、同年に皇宮警察が主催する武道大会での優勝も達成しました。

1943年には警視庁剣道師範に昇進し、1948年には国家地方警察本部の体育技官としても活躍しました。そして1954年に警視庁に復帰、1964年からは剣道副主席師範にまで昇りつめました。1968年に警視庁を退職した後も剣道界にとどまり、全日本剣道連盟や東京都剣道連盟での重要な役割を果たしました。

1985年、フランスで開催された第6回世界剣道選手権大会では審判長を務め、国際的な舞台でもその存在感を示しました。

人物と信条

伊藤の座右の銘は吉田松陰の「人と成るべし」であり、彼の信条は「剣即心」でした。この言葉は、彼が剣道を通して培った精神性を表現しており、御岳神社の参道に立つ剣道碑にも刻まれています。彼はただの剣道家ではなく、心と技を兼ね備えた剣道の担い手として、多くの人々に影響を与え続けました。

1990年10月28日、東京都青梅市にて永眠しました。享年85歳。彼の遺した功績と教えは、今も多くの剣道家たちに受け継がれています。

もう一度検索