伊覇按司

伊覇按司の歴史

伊覇按司（いはあじ）は、琉球王国の前史に関与した沖縄の重要な王統の一つであり、その起源は北山世主（北山王）の一族に由来します。特に、初代伊覇按司である今帰仁王子が築いた伊覇城は、その後の琉球の歴史において不可欠な場所となりました。

伊覇按司一世の生涯

初代伊覇按司一世は今帰仁王子であり、英祖王統の子孫として誕生しました。彼は1322年、父である今帰仁仲宗根若按司が戦いに敗れた際、身を隠すために南へ逃れ、美里間切（現在のうるま市石川伊波）に辿り着きました。この地で彼は、地元の権力者である美里大主から見出され、1340年に伊覇城を築くこととなります。この出来事は、彼が初めて「伊覇按司」と名乗る瞬間でもありました。

一世は琉球王国の建国者である尚巴志の後見人としても知られています。尚巴志が佐敷按司になった際には彼の支援を行い、後に一世の娘が尚巴志に嫁ぐことによって、両者の間に強力な縁戚関係が結ばれました。この結婚により、一族は共に北山・中山・南山の統一に貢献することとなりました。

増大する勢力

一世の後、伊覇按司の系譜は続いていきます。彼の嫡男である伊覇按司二世は、義兄である尚巴志と共に北山征伐に参加し、北山王国の撃退に成功しました。さらに、二世の孫である護佐丸は、今帰仁王子の流れを汲む勢力として沖縄中部地区に強大な影響を及ぼしました。護佐丸は「鬼大城」という異名を持ち、地域の武力を代表する存在に成長しました。

支配の変化と伊覇按司の衰退

1450年代、琉球王国は尚円王による中央集権化の動きを見せ、各地の按司は王府へ上るよう命じられました。この動きに応じたのは、伊覇按司の五世であり、彼は伊覇城を放棄し首里に移住しました。一方、同時期に権力を強化していた安慶名大川按司一世は、この命令を拒否し、結局は王府軍との戦争へ発展しました。安慶名大川按司一世は最初は善戦するも、最終的には王府の兵糧攻めによって敗北し、一族は滅亡の危機に陥りました。

まとめ

伊覇按司はその起源から琉球の歴史において重要な役割を果たしました。初代城主一世から始まり、彼の子孫が多くの戦いを経て、琉球王国の形成に寄与したことは、沖縄の歴史における大きな転機を象徴しています。その後、中央集権化と戦争による衰退もありましたが、伊覇按司の影響力は歴史の中で決して消えることなく、後の世代に受け継がれていくこととなります。

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