伊豆箱根鉄道モハ151形電車

伊豆箱根鉄道モハ151形電車：個性豊かな旧型国電とその仲間たち

伊豆箱根鉄道大雄山線で活躍したモハ151形電車は、その短い車体と多様な出自から、鉄道ファンに愛された存在です。本記事では、モハ151形を中心に、共に活躍したクハ181形、サハ181形、そして事業用車両として異彩を放つコデ165形について詳しく解説します。

大雄山線の制約と17m電車の活躍

大雄山線は、緑町駅付近に存在する半径100mという急カーブのため、17m以下の車体長を持つ車両しか入線できませんでした。この制約下で、大雄山線では様々な車両が活躍しました。かつては、自動連結器を備えた2両編成と、密着連結器を備えた3両編成という2つのグループが存在し、それぞれ異なる形式の車両が使用されていました。

モハ151形は、主に密着連結器を備えた3両編成で使用されていた車両群で、元国鉄の車両などが改造・転用されたものです。番号は、モハ50形やクハ80形に+100したものでした。

当時の伊豆箱根鉄道の旧性能車は、親会社である西武鉄道の「赤電」と同様の塗装でしたが、正面の車両番号表記が異なっていました。伊豆箱根鉄道では、正面3枚窓の中央上部に車両番号が記されており、これは西武鉄道では見られない特徴でした。

1976年の昇圧後、大雄山線は17mの国電で統一されました。これは、日本国内の私鉄路線としては唯一の事例であり、その経歴から形態もバラエティに富んでいたため、鉄道研究家の吉川文夫氏は「私鉄には興味ない国電マニアも、ここだけは国電OBを撮りにくる」と評しました。

車内放送にはテープによる自動放送が採用され、当時の車両の古さや大手私鉄の多くが肉声放送だったことを考えると、先進的な試みだったと言えるでしょう。

その後、1984年から1996年にかけて5000系に置き換えられ、モハ151形を含む旧型車両の多くは廃車となりましたが、一部はコデ165形として改造され、現在も活躍を続けています。

個性豊かな編成

モハ151形は、編成替えが頻繁に行われたため、完全に同じ形態の車両で統一された編成は存在しませんでした。ここでは、クハ181形の末尾番号順に各編成の特徴を見ていきましょう。

国鉄・西武からの譲渡車

モハ151形の中には、国鉄や西武鉄道から譲渡された車両が多く存在しました。これらの車両は、戦災復旧車であったり、事故復旧車であったりと、様々な経歴を持っています。モハ151形・152形は、国鉄モハ50系に見られた張り上げ屋根が特徴でした。

相鉄からの譲渡車

モハ151形には、相模鉄道（相鉄）2000系電車からの譲渡車も存在しました。これらの車両は、1500V昇圧と同時に登場し、モハ151形の最後のグループとなりました。相鉄時代に更新された張り上げ屋根が特徴的でした。

事業用車両コデ165形

コデ165形は、元々国鉄のモハ30166として製造され、その後相模鉄道を経て伊豆箱根鉄道に入線した車両です。1997年に工事用車両であるコデ66形の代替として改造され、現在も事業用車両として活躍しています。

改造に際して、両運転台化やドアの埋め込み、塗装の変更などが行われました。また、ATS関連機器やMG、自動連結器などはコデ66形のものが流用されています。

コデ165形は、主に5000系の定期検査時の甲種輸送や、線内のレール運搬などに使用されています。かつては夜間工事用列車の牽引も担当していましたが、現在は軌道用モーターカーとバラスト散布車が導入されたため、バラスト列車に充当されるケースは稀になっています。

2018年には、塗装が国鉄時代のぶどう色に変更され、鉄道ファンに再び注目される存在となっています。

伊豆箱根鉄道大雄山線のモハ151形電車とその仲間たちは、短い車体の中に様々な歴史を詰め込んだ、個性豊かな車両たちでした。その多くは既に引退しましたが、コデ165形は現在も活躍を続けており、その姿は往年の大雄山線を偲ばせる貴重な存在となっています。

もう一度検索