伊達行源

伊達行源：僧侶から武士へ転身した公家出身者の生涯

伊達行源（だて ぎょうげん、生年不詳 - 元和5年11月12日（1619年12月17日））は、江戸時代初期に生きた僧侶であり、後に武士に転身した人物です。公家の勧修寺晴豊の三男として生まれました。

生涯

行源は初め、天台宗の僧侶として愛宕大善院（現在の愛宕神社）に入りました。しかし、後に還俗し、武士となって「伊達讃岐守」を名乗ったと伝えられています。

土御門泰重の日記『泰重卿記』によれば、元和5年11月14日の記述から、行源はその2日前に死去したことがわかります。また、兄弟である鳳林承章の日記『隔蓂記』には、万治元年12月5日の記述として、行源には少なくとも一人の娘がおり、その娘が淀藩永井氏の家臣である松山八郎兵衛に嫁ぎ、主水という息子を産んだことが記されています。

18世紀後半に京都の公家社会で活動していた有職故実家の伊達玄庵（または賀生）は、自身を行源の曾孫と称し、行源が還俗後に「伊達讃岐守豊房」と名乗ったと主張しています（『光台一覧』奥書）。

さらに、仙台藩主である伊達政宗が娘婿である高田藩主松平忠輝に付けた家臣「伊達讃岐守光之」と行源を同一人物とする説も存在します。しかし、確たる証拠はなく、あくまで推測の域を出ません。

人物像

伊達行源は、公家出身でありながら僧侶、そして武士という異色の経歴を持つ人物です。彼の生涯は、当時の社会の流動性を反映していると言えるでしょう。また、彼の子孫とされる伊達玄庵の存在や、伊達政宗との関係など、その周辺には謎も多く、歴史研究者や郷土史家にとって興味深いテーマとなっています。

参考文献

『勧修寺家譜』勧修寺顕允差出、1875年。（東京大学史料編纂所蔵）
中島次太郎『松平忠輝と家臣団：家康・秀忠政権下の秘史』名著出版、1975年。
* 林大樹『天皇近臣と近世の朝廷』吉川弘文館、2021年。

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