隔蓂記

隔蓂記（かくめいき）

『隔蓂記』は、江戸時代初期、金閣寺の住職であった鳳林承章（ほうりんじょうしょう）によって、1635年から1668年までの33年間にわたり書き綴られた日記です。この日記は、後水尾天皇（ごみずのおてんのう）の時代における上流階級の文化や生活様式を知る上で、非常に貴重な資料とされています。

鳳林承章は、茶の湯などを通じて、公家、武士、町人に至るまで、幅広い人脈を築いていました。彼は43歳から亡くなるまでの間、彼が交流した上流階級の人々の趣味や暮らしぶりを詳細に記録しました。登場人物は多岐にわたり、茶人、絵師、学者、歌人など、当時の華やかな寛永文化を彩った名だたる文化人たちが登場します。

登場人物の例

『隔蓂記』に登場する主な人物としては、以下のような人々が挙げられます。

後水尾上皇
千宗旦（せんのそうたん）
小堀遠州（こぼりえんしゅう）
金森宗和（かなもりそうわ）
片桐石州（かたぎりせきしゅう）
桑山一玄（くわやまいちげん）
野々村仁清（ののむらにんせい）
粟田宮作兵衛（あわたみやさくべえ）
池坊専好（いけのぼうせんこう）
狩野守信（かのうもりのぶ）
山本友我（やまもとゆうが）
林羅山（はやしらざん）
本阿弥光甫（ほんあみこうほ）
曽谷宗喝（そやそうかつ）
糸屋十右衛門（いとやじゅうえもん）

これらの人物の活動や交流を通して、当時の文化や社会情勢を知ることができます。

参考文献

『隔蓂記　全7巻』思文閣出版　2006年
岡佳子, 岩間香『寛永文化のネットワーク : 「隔蓂記」の世界』思文閣出版、1998年。ISBN 478420945X。
『隔蓂記 思文閣出版案内』。

関連文献

鳳林承章, 赤松俊秀『隔蓂記』鹿苑寺〈全3巻〉、1958年。
横谷一子「『隔蓂記』にみる一町人の文芸と古典受容」『佛教大學大學院紀要』第27巻、佛教大学大学院、1999年3月、131-144頁。

『隔蓂記』は、単なる日記としてだけでなく、江戸時代初期の文化や社会、人々の交流を知る上で非常に重要な一次資料であり、研究者にとっても貴重な情報源となっています。

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