勧修寺晴豊

勧修寺晴豊：戦国・安土桃山時代の公卿

勧修寺晴豊（かじゅうじ はるとよ / はれとよ）は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した公家です。堂上家である勧修寺家の14代当主として、朝廷において重要な役割を果たしました。

生涯

天文13年（1544年）に誕生した晴豊は、室町幕府12代将軍・足利義晴から偏諱を受けました。公家としてのキャリアを積み重ね、永禄8年（1565年）には山科言継と共に知恩寺や革堂を訪れています。

元亀3年（1572年）には参議・右大弁に任じられ、天正2年（1574年）には左大弁となりました。天正3年（1575年）には勅使として越前に赴き、織田信長を見舞い、その動向を朝廷に報告しました。また、石山本願寺との対立が激化する中、天正4年（1576年）には再び勅使として信長のもとへ派遣されています。

信長が上洛した際には、近衛前久らと共に妙覚寺を訪れ、信長と対面しました。同年、父・晴右が興福寺別当の人事に介入したことが信長の怒りを買い、蟄居を命じられますが、後に赦免されています。その後も、権中納言、賀茂伝奏などを歴任し、天正6年（1578年）には上洛した信長を立本寺で出迎えました。

本願寺との交渉においては、正親町天皇の勅命を受け、庭田重保と共に本願寺へ派遣され、講和成立に尽力しました。石山合戦終結後も、本願寺の状況視察のため、勅使として派遣されています。

天正10年（1582年）には、京都所司代・村井貞勝邸にて、信長の任官問題について協議しました。信長が上洛した際には、上洛祝いの勅使として本能寺を訪れましたが、翌日には本能寺の変が発生し、信長が横死。晴豊は変直後の状況を詳細に記録しています。

明智光秀が山崎の戦いで敗れると、光秀の娘を保護しました。その後、権大納言に任じられ、豊臣秀吉が関白に就任する際には、勅使として太刀を贈呈しています。秀吉の邸宅にも度々招かれ、徳川家康ら諸大名とも交流しました。

慶長7年（1603年）に薨去。享年60（満58歳没）。

人物・評価

晴豊は、武家伝奏として織田信長や豊臣秀吉らと親交を深め、朝廷と武家政権との間を取り持つ役割を果たしました。彼の日記である『晴豊公記』（晴豊記、日々記）は、当時の社会情勢や事件、特に信長や本能寺の変に関する記述が豊富で、歴史研究における一級史料として高く評価されています。

系譜

父：勧修寺晴右（1523-1577）
母：粟屋元子 - 粟屋元隆の娘
妻：土御門有脩の娘

男子：勧修寺光豊（1576-1612）
次男：甘露寺経遠（1576-1602） - 甘露寺経元の養子
四男：坊城俊昌（1582-1609） - 坊城俊名の養子
五男：阿部致康（1585-1645）
六男：鳳林承章（1593-1668）
生母不明の子女
三男：伊達行源（?-1619）
男子：松室重清
女子：佐久間安政継室


勧修寺晴豊は、激動の時代を生きた公家として、その行動と記録を通じて、当時の歴史を今に伝える重要な人物です。

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