伊那松島運輸区

伊那松島運輸区

伊那松島運輸区（いなまつしまうんゆく）は、長野県上伊那郡箕輪町松島に位置する乗務員基地です。この基地は、東海旅客[[鉄道]]（JR東海）の東海鉄道事業本部が管轄しており、主に飯田線の北部地域で運行される列車の乗務員が配置されています。

この運輸区の前身は、伊那電気鉄道の松島工場でした。1943年8月1日に国有化され、伊那松島機関区という名称に改称され、名古屋鉄道局静岡管理部の管轄下に置かれました。その後、1987年3月の国鉄車両基地呼称変更により「伊那松島運転区」に改称され、さらに民営化後は静岡支社の管轄となりました。1989年3月11日には駒ケ根車掌区と統合され、「伊那松島運輸区」として現在の名称が定着しました。1990年3月1日には飯田支社の発足に伴い、東海鉄道事業本部に移管されました。

運輸区で運用されている旅客車両は、伊那電気鉄道からの引き継ぎ車両を中心に構成されていましたが、国鉄時代にはさまざまな旧型国電が在籍していました。代表的な電気機関車としては、初めに伊那電引継車が配置され、その後ED18形やED19形の合計9両、そして最後にはED62形が運用されていました。事業用車両に関しては、旧伊那電引継車を改造した木造車が使用された後、1970年にクモハ11235を改造したクモエ21009に交代されました。

1975年3月のダイヤ改正時点では、運用番号として71から89までの番号が与えられ、さらに91から92までの番号が付与されていました。しかし、1983年7月に旧型国電の退役と119系電車の導入に伴い、車両検修業務が豊橋機関区に集約されることとなり、その結果、多くの車両が搬出され、運転区の性格が変化しました。現在では、伊那松島運輸区は動力車乗務員基地として活動しており、車両の配置がありません。

運輸区内にはかつて8本あった留置線が現在では6本に減少し、車両の滞泊用に使用されています。所属する車両に記されている略号は、旅客車の「静ママ」で、これは静岡鉄道管理局の略号「静」と、伊那松島機関区の略称「ママ」から成っていることを示します。

沿革

• - 1909年12月28日: 伊那電車軌道松島工場として設置
• - 1943年8月1日: 国有化に伴い伊那松島機関区に改称
• - 1983年7月: 車両検修業務を豊橋機関区に移管
• - 1987年3月1日: 国鉄車両基地呼称変更で伊那松島運転区に改称
• - 1987年4月1日: 国鉄分割民営化によりJR東海に移管
• - 1989年3月11日: 駒ケ根車掌区を編入、伊那松島運輸区に改称
• - 1994年: 伊那松島運輸区撮影会を実施
• - 1996年4月1日: 飯田線貨物扱い廃止に伴い、機関車の出入りが減少

乗務範囲

伊那松島運輸区の乗務範囲は、飯田線の中部天竜から辰野間に及びます。

保存車両

• - クモハ12041: 通称「ゲタ電」で、静岡運転所に所属。飯田線などのイベント列車で運用されていました。2002年に除籍後、リニア・[[鉄道館]]に収蔵されています。
• - モハ1035: 大井川鐵道から譲受し、復元されて静態保存されています。これもリニア・[[鉄道館]]に収蔵されている車両です。

このように、伊那松島運輸区は長い歴史を持つ重要な施設で、現在も現役で運行される列車を支える役割を果たしています。

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