伊集院忠真

伊集院忠真（いじゅういん ただざね）

伊集院忠真は、安土桃山時代に活躍した武将であり、島津氏の家臣として知られています。父は同じく島津氏に仕えた伊集院忠棟です。

生涯

1576年、伊集院忠棟の嫡男として生まれた忠真は、父と同様に島津氏に仕えました。文禄・慶長の役では、泗川の戦いにおいて自身の部隊が6,500以上もの首を挙げたとされています。しかし、1599年、父・忠棟が島津忠恒（後の家久）によって殺害されると、その跡を継いで日向国庄内の都城に立て籠もり、島津氏に対して公然と反旗を翻しました（庄内の乱）。

翌1600年、徳川家康の仲介によって一旦は和睦が成立したものの、忠真は再び島津氏に背きました。これは、忠真が島津氏からの支配を離れ、他家への奉公を希望していたにもかかわらず、忠恒がこれを認めなかったためとされています。そのため、家康が再度仲介し、忠恒が頴娃1万石を忠真に宛がうことで和睦が成立し、忠真は再び島津氏に帰属することになりました。この時、忠真は島津義弘の次女を娶っており、乱後は義弘の屋敷に身を寄せていたとされています。

しかし、島津義久・忠恒は忠真のことを警戒し続けており、関ヶ原の戦い直前、関ヶ原本戦に出陣した義弘が再三にわたり自国に対して派兵を催促したものの、忠恒は庄内の乱を恐れて大規模な派兵を行いませんでした。このことが、義弘が関ヶ原の戦いで少数での苦戦を強いられる一因になったと言われています。

1602年、関ヶ原の戦いでの一件を謝罪するため、忠恒は伏見へ上洛することになり、忠真もこれに従いました。しかし、日向野尻での狩りの最中、忠恒の命によって討たれてしまいました。また、庄内の乱後、それぞれ別の島津家家臣の屋敷に身柄を預けられていた弟の小伝次、三郎五郎、千次、そして忠真の母も、忠真が討たれた日に全員が殺害され、伊集院一族はことごとく粛清されるという悲劇に見舞われました。

忠真の死は、表向きには淵脇平馬の誤射によるものとされましたが、淵脇はその後切腹しています。しかし、数年後には遺族が上級家臣である城士に取り立てられており、島津家による褒賞が行われたと見られています。

忠真には男子がいませんでしたが、千鶴という娘がおり、忠真の死後には忠恒の養女となり、松平定行の後室となりました。また、妻の御下は島津久元の妻となっています。

伊集院一族粛清の理由

島津忠恒は、伊集院家を粛清した理由として、「忠真が義久と義弘の間を裂き、自らは義弘側に就こうとしていたこと」や「小伝次が義久側の情報を義弘に流していたこと」を挙げています。山本博文は、忠恒の上洛を義久やその家臣に認めさせる代償として、家中から嫌悪されていた伊集院家を粛清したのではないかと推測しています。

伊集院忠真は、その短い生涯の中で、島津氏への忠誠と反逆、そして悲劇的な最期を迎えた武将として、歴史に名を残しています。

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