伏見直江

伏見直江の生涯と業績

伏見直江（ふしみ なおえ）は、1908年11月10日に東京で誕生し、1982年5月16日に他界した日本の女優です。本名は伏見直枝ですが、演じる役柄によって多くの芸名を使用しました。初期には藤間照子、次に霧島直子、最終的には伏見直江として知られるようになりました。

幼少期とキャリアの始まり

伏見は新派の俳優である父、伏見三郎のもとに生まれ、幼少期から演技に親しむ環境で育ちました。初舞台を3歳で踏んだとされ、印象的な芸能の素養を示しました。1923年、彼女は父の一座を離れ、小山内薫が創設した築地小劇場で演技の研究を始めました。この年、映画デビュー作『山の力』において藤間照子名義で出演し、しっかりと映画キャリアをスタートさせます。

映画界での躍進

伏見直江は、1926年の『銀の雨』や1927年の『兄貴』を通じて、徐々にその名声を高めました。この時期、彼女は日活に移籍し、魅惑的な女優としての地位を確立していきました。特に『忠次旅日記 御用篇』は、彼女の出世作として知られ、多くの視聴者を魅了しました。

戦後、伏見は自身の劇団「伏見直江一座」を設立し、海外公演も果たしました。1950年には映画界に復帰し、勝新太郎監督の作品にも出演。彼女は1970年代まで精力的に活動を続け、老後も映画界に貢献しました。

演技力と人柄

彼女はその演技力から「猛勇女優」として名を馳せ、特に大河内傳次郎との共演では素晴らしい相手役を務めました。その一方で、彼女は幼少期に旅回りをしていたため、十分な教育を受けられなかったという背景があります。妹の信子とともに文盲であった時期もありましたが、彼女の明るい性格と努力が周囲からの支持を受ける要因でした。築地小劇場においては、役者たちが協力して彼女たちに読み書きを教授したこともあり、彼女の成長を支援したエピソードも残されています。

彼女のフィルモグラフィ

伏見直江が出演した映画は多岐にわたります。彼女の重要な作品には以下が挙げられます。

• - 『山の力』 (1923年)
• - 『銀の雨』 (1926年)
• - 『兄貴』 (1927年)
• - 『忠次旅日記 御用篇』 (1927年)
• - 『女左膳 鍔鳴無刀流の巻』 (1950年)
• - 『新座頭市物語 折れた杖』 (1972年)

彼女のキャリアは80年以上にわたり、一貫して日本の映画や演劇界に貢献し続けました。1982年に73歳で亡くなった伏見直江は、今でも多くの人々に愛される演技派女優としてその名を記憶されています。

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