伏見藩

伏見藩の歴史

伏見藩（ふしみはん）は、江戸時代初期に存在した藩で、当時の山城国伏見（現在の京都府京都市伏見区）を拠点にしていました。この藩は、特に松平定勝が伏見城代を務めていた時期に焦点を当てることが多いです。

藩の前史

伏見城は、歴史的に3度にわたって築かれました。最初の築城は文禄元年（1592年）に豊臣秀吉によって始まりましたが、文禄5年（1596年）の大地震で倒壊してしまいました。その後、近隣の木幡山に新たな伏見城が建設され、さらに慶長3年（1598年）には徳川家康が留守居役として伏見城に入城し、豊臣政権下での重要な拠点となりました。家康はその後、慶長7年（1602年）に伏見城を再建し、藩の中心地としての役割を果たしました。

松平定勝の時代

慶長12年（1607年）、家康が駿府城に移ると、松平定勝が伏見城代に就任しました。彼は2万石の加増を受けて、合計5万石を領有し、これを以て「伏見藩」の成立と考える見解があります。しかし、定勝は大坂の城代にも任じられたため、彼の役職は「伏見城代藩主」としての性格が強いと言えるでしょう。

大坂の陣で豊臣氏が滅亡した後、元和3年（1617年）に定勝が伊勢桑名藩へ転封されると、伏見藩は廃藩となると考えられています。

後史

豊臣氏が滅亡した後、伏見城の重要性は減少しました。元和3年（1617年）には、摂津高槻藩の内藤信正が新たに伏見城代に任命され、寛永5年（1619年）には伏見城の廃城が決定されました。この年の7月、内藤信正は初代の大坂城代として転出し、伏見城代及び在番士は大坂城に移動することとなりました。そして、元和9年（1623年）に徳川家光が伏見城で将軍宣下を受けた際には、まだ廃城の命運を免れていた建物が使用されました。

伏見城の廃城時期には諸説あり、元和9年から寛永元年（1624年）、さらには寛永2年（1625年）まで様々な推測があります。この廃城に伴い、松平定綱（定勝の三男）が淀城の築城を命じられ、そこに伏見城の資材が転用されました。また、伏見城の天守は二条城に移築され、奉行所もその後幕末までの間使用されることになります。

伏見藩は、松平家の支配による重要な歴史的背景を持ち、地域の発展や府内の統治に大きな影響を与えた存在でした。この藩の歴史は、江戸時代の政治・社会状況を理解する上でも重要な要素となっているのです。

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