伐開機

伐開機ホK（ばつかいき ホK）

伐開機ホKは、日本陸軍が対ソビエト連邦戦争に備えて設計した特殊な工兵用車両です。この車両は特に密林地域への進軍を目的としています。戦前、日本陸軍はソ連を仮想敵国とし、満州からシベリアにかけて国境に点在するトーチカや湿地帯、密林、河川を克服するために多様な特殊車両を開発していました。

概要

伐開機の開発は、主に密林を突破するために行われました。最初のモデルは東京瓦斯電気工業が製造し、九七式中戦車の構造を活用した新しい上部車体が三菱重工で設計されました。最初の量産車は1943年に完成し、「特殊機甲工兵部隊」に配備されました。

伐開機は、その車体の前面に油圧式の大型衝角を設置しており、これにより樹木をなぎ倒しながら侵入路を開くことができるように設計されています。さらに、伐開機が倒した木々を整理して通行可能な道を確保するため、クレーンを搭載した伐掃機も同時に開発されました。

この伐開機は、ニューギニアにおいて飛行場の設置に利用される予定でしたが、輸送過程で多くの車両が撃沈され、また現地での空襲によって失われてしまいました。南方の原生林は予想以上に大木が多く、実際にはあまり役立たなかったとされています。また、伐掃機はビアク島で米軍に鹵獲された記録が残っています。

運用

この車両の最大の特徴は、その巨大な衝角ですが、大木を単に押し倒すことが目的ではありません。密林地域での調査によると、障害となる木の直径は10cmから20cm程度が多く、これらを倒すためには約15トンの車重が必要であることが分かりました。また、密林内での位置特定のために自記径路機が装備されており、これはジャイロコンパスを利用して移動距離を計算します。

運用試験では、伐開機1台と伐掃機2台を組み合わせて1つの作業隊を編成することが最適と認定されました。これにより、機動的かつ効率的な作業が可能となったのです。

その他の事例

第二次世界大戦中、ドイツの国防軍も類似の概念で「ティーガー(P)衝角戦車」を開発しました。この車両は市街戦において敵が立てこもる建物に穴を開けるために設計されたものであり、密林突破用の伐開機とは異なる目的を持っていました。

まとめ

伐開機ホKは、日本陸軍が密林地帯における突破能力を高めるために設計された特異な工兵用車両です。その歴史は日本陸軍の戦略と密接に関連しており、戦争のシナリオを反映した技術革新の象徴的な存在となっています。

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