会津鉄道AT-700形気動車

会津鉄道AT-700形気動車

会津鉄道AT-700形気動車は、2010年に製造された新型の気動車であり、会津鉄道の運行に欠かせない存在となっています。この車両は、新潟トランシス製の地方交通線用気動車NDCを基にしており、さらに進化した内装と機能が特徴です。本記事では、AT-700形の概要や特徴、AT-750形との違いについて掘り下げて解説します。

概要

会津鉄道では、名古屋鉄道から購入したキハ8500系を使用し、「AIZUマウントエクスプレス」を2002年から運行していました。しかし、8500系の走行装置は特急用に設計されているため、会津鉄道のような低速運転では問題が生じていました。この結果、変速機油の温度上昇が早く進み、結果として車両の劣化が早まってしまいました。このため新型車両を導入することが必要となり、お披露目されたのがAT-700形です。

700形は、AT-600形とAT-650形の転換クロスシートをさらにアップグレードした内装が特徴で、全席に回転・リクライニング機能を備え、JRの特急列車にも引けを取らない居住性を提供します。

車両の構造

AT-700形の車体は、AT-500形やAT-600形に準じた基本寸法で設計されており、運転室は左隅式で、前方には貫通扉があります。その外観は、会津の伝統陶芸である漆をイメージした美しい深みのある赤色で塗装されています。

この車両はワンマン運転にも対応しており、運転室の直後にある客用扉は幅1,000mmと広く設計されています。また、乗務員用の扉は運転席側のみに配置されています。客用扉間には、幅1,200mmの強化ガラス製固定窓が設置されていますが、戸袋部分には窓がないため、AT-750形ではトイレ側の窓が一つ少なくなります。

車内は、東武鉄道に連絡する鬼怒川温泉駅の特急列車と同等の居住性を目指しており、和を基調とした茶色系の内装に整えられています。座席は全て回転・リクライニング式で、11列が配置されています。特に、トイレ付近や排気管の脇には、1人1掛けの席が設けられ、その他は2人掛けとなっています。

走行装置とエンジン

AT-700形のエンジンにはカミンズ製の直列横形6気筒N14Rディーゼルエンジンが搭載され、定格出力は309 kWです。動力は液体変速機を通じて台車に伝えられ、ボルスタレス空気ばね式の台車が採用されています。制動装置は電気指令式のユニットブレーキで、多重伝送による省配線化がなされています。

空調装置

この車両は、エンジン冷却水の排熱を利用する温風式暖房と、R134a冷媒を用いた冷房装置の2基が搭載されており、快適な車内環境を実現しています。冷房能力は19.8 kWに相当します。

運用履歴

AT-700形は、キハ8500系の後を受けて2010年5月30日に運用を開始し、会津若松駅から鬼怒川温泉駅間の快速「AIZUマウントエクスプレス」で利用されています。その後、土休日にはJR磐越西線の喜多方駅まで乗り入れるサービスを展開していましたが、2012年3月からは東武日光駅への運転区間が広がっていました。しかし、このサービスは2022年に取りやめられました。AT-500形やAT-600形との併結運転も可能です。

結論

会津鉄道AT-700形気動車は、そのデザインと機能性で、地域の交通手段としての位置づけを確立してきました。快適な車内、効率的な運行能力、そして地域の文化を反映した外観が、乗客にとって魅力的な体験を提供しています。今後もこの車両が多くの人々の足となり、観光地へのアクセスを支えることでしょう。

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