会田・麻績騒動

会田・麻績騒動の背景と経過

会田・麻績騒動（あいだ・おみそうどう）は、1869年8月に信濃国筑摩郡で勃発した農民一揆であり、当時の社会的・経済的な混乱が影響を及ぼしていました。この騒動は、明治新政府による新貨幣の大量発行や、偽の貨幣流通によって引き起こされた経済の不安定さが直接の原因となっています。特に、農村の経済はインフレーションによって劇的に変化し、農民たちの生活に大きな打撃を与えました。

明治2年8月16日、新たに発生した上田藩の「上田騒動」に触発された農民たちは、次第に不満を募らせました。この騒動の結果、農民の要求が認められたことで、周囲の地域でも同様の動きが生じました。特に、8月25日には、保福寺峠を越えて筑摩郡北部にもその波紋が広がり、会田町組と麻績町組の二つの地域で一揆が勃発します。

この一揆には、2000人以上の農民が参加し、彼らは価格の引き下げや村の役人による不正の是正を求めました。騒動の中で、庄屋や酒造屋、米商、質屋、問屋などの商業施設が襲われ、破壊されました。具体的には、各地で7つの要求が掲げられ、その中には生活必需品の価格引き下げが含まれていました。

会田町では、藤松長兵衛を中心に農民たちは二手に分かれ、会田町から北国西街道を通って、保福寺や刈谷原へ名を連ねる富農や商家を襲撃し、最終的には安曇郡穂高宿にまで達しました。しかし、8月26日、松本藩の兵士たちによってこの一揆は鎮圧されることになります。

一方、乱橋村の小林愛次郎を先頭にした農民たちは、同様に街道沿いの宿を襲い続けましたが、8月27日には伊那県および松代藩の兵士によっても鎮圧されました。一揆の結果、地域では多くの被害が発生し、30か村からは25軒が焼失し、81軒が破壊されました。

この騒動により、首謀者らは厳しく罰せられ、184人が逮捕される一方で、他の参加者は釈放されるなどの結果となりました。斬首の処罰を受けた者を含む一揆の影響は、地域社会に深い傷を刻みました。

会田・麻績騒動は、日本の明治維新期における農民運動の一例であり、社会的不満の高まりや政治的な動乱が、根本的な経済問題に直面した農民たちを突き動かしたことを示しています。この事件は、その後の農民運動の流れや社会構造の変化に影響を与える重要な出来事として記憶されています。

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