上田騒動

上田騒動

上田騒動とは、江戸時代から明治時代にかけて信濃国上田藩で発生した複数回の農民一揆の総称です。特に、宝暦11年（1761年）と明治2年（1869年）に発生した二つの大規模な騒動がよく知られています。

宝暦11年（1761年）の上田騒動

この騒動は、上田藩の農民約13,000人が上田城へ押し寄せた大規模な一揆でした。主な原因は、年貢の増徴と役人の不正に対する農民の不満でした。

一揆の背景

当時の上田藩では、年貢の徴収方法が従来の定免法から検見法に変更されました。検見法は、作柄に応じて年貢を徴収する方法ですが、この変更に乗じて、郡奉行の中村弥左衛門らが不正を行い、農民から搾取していました。農民たちは、年貢の軽減、人足としての徴用停止、不正を行う役人の取り締まりを求めて立ち上がりました。

一揆の経過

12月11日、諏訪部の河原に集結した農民たちは、夜明けとともに上田城下へ押し寄せました。しかし、当時の藩主松平忠順は江戸に滞在中であり、家老の岡部九郎兵衛が対応にあたりました。岡部は、農民たちの要求が受け入れられなければ、切腹すると約束しました。翌日、農民たちは城下町で打ち壊しを行い、不正に関わっていた小牧村の庄屋宅を襲撃しました。

一揆の結末

翌年1月9日、上田城に呼び出された農民たちは、岡部から不正を行った郡奉行たちの罷免が伝えられました。しかし、騒動を起こした首謀者については、取り調べが行われることになりました。首謀者とされた夫神村の清水半平と中沢浅之丞、庄屋の西戸太郎兵衛が捕らえられ、半平と浅之丞は死罪、太郎兵衛は永牢となりました。この騒動の記録として「上田縞崩格子」が残されています。

明治2年（1869年）の上田騒動

幕末の混乱期に発生したこの騒動は、偽二分金（チャラ金）の流通停止が引き金となり、農村経済が混乱したことが原因でした。この騒動は世直し一揆としての側面を持っていました。

一揆の背景

明治維新直後の混乱期、偽の二分金が流通し、それが使用停止となったことで、農民たちは経済的に困窮しました。不満が募った農民たちは、世直しを求めて一揆を起こしました。

一揆の経過

8月16日、入奈良本村で発生した一揆は、周辺の村々を巻き込み、翌日には上田城下に乱入しました。一揆勢は、版籍奉還により上田藩知事となっていた松平忠礼に直訴し、商店や富農を打ち壊し、焼き討ちを行いました。農民たちの訴えは受け入れられ、騒動は数日で収束しました。

一揆の結末

騒動が収束した後、首謀者とされた百姓九郎右衛門が斬首、その他3名が永牢となりました。この騒動では、上田藩内で590戸もの家屋が被害を受けたと伝えられています。この騒動の記録としては「信州上田騒動右物語」が残されています。

その他の騒動

上田藩では、上記以外にも以下の騒動が発生しています。

天和2年（1682年）：入奈良本村の増田与兵衛を首謀者とする騒動。
享保6年（1721年）：中挟村の平林新七を首謀者とする騒動。
文化6年（1809年）：入奈良本村の堀内勇吉を首謀者とする騒動。

まとめ

上田騒動は、農民たちが藩政の不正や経済的な困窮に対して立ち上がった歴史的な出来事です。これらの騒動は、農民たちの不満や要求が社会を変える力を持つことを示しています。それぞれの騒動は、時代背景や原因が異なりますが、農民たちの生活を守るための必死な抵抗であったと言えるでしょう。

関連項目

松代騒動
中野騒動
会田・麻績騒動

参考文献

『少年少女 日本の歴史 第14巻』ｐ81 - 98（1982年、小学館発行、児玉幸多監修）
『長野県百科事典』（1974年 信濃毎日新聞社）

外部リンク

* 青木村義民資料展示室（青木村観光協会）

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