住吉村 (神奈川県)

住吉村（すみよしむら）

概要

住吉村は、1889年（明治22年）4月1日から1925年（大正14年）5月10日まで、神奈川県橘樹郡に存在した村です。現在の神奈川県川崎市中原区の南部、および幸区の西部に位置していました。この地域は、武蔵野台地の南端に位置し、多摩川の沖積平野が広がっています。

歴史

村名の由来

村名は、瑞祥地名に由来します。これは、縁起の良い意味を持つ地名を選ぶ際に用いられるもので、この地域が発展することを願って名付けられたと考えられます。

沿革

戦国時代：この地域には、今井、木月郷、借宿、井田といった地名が確認されています。これらの地名は、この地域が古くから開けていたことを示唆しています。
江戸時代：以下の6つの村が成立しました。
今井村：幕府領、旗本勝部氏・筒井氏の知行を経て、旗本勝部氏の知行、江戸増上寺領となりました。
木月村：旗本森川氏、三宅氏、内藤氏の4氏による給地でした。
市ノ坪村：旗本内藤氏の知行から幕府領を経て、江戸増上寺領となりました。
苅宿村：幕府領から旗本杉田氏の知行を経て、再び幕府領となりました。
井田村：旗本加藤氏、倉橋氏、八木氏、高林氏、鈴木氏の5氏による給地でしたが、後に幕府領、旗本加藤氏、倉橋氏、新見氏、鈴木氏の知行となりました。
北加瀬村：旗本間宮氏の知行から江戸増上寺領となりました。

1868年（明治元年）：
旧暦6月17日：神奈川府の管轄となりました。
旧暦9月21日：神奈川府が神奈川県に改称されました。
1874年（明治7年）：大区小区制の施行により、上平間村、中丸子村、市ノ坪村、今井村、鹿島田村、苅宿村が第4大区第7小区に、井田村、木月村、蟹ケ谷村、明津村、北加瀬村が第4大区第8小区に編入されました。
1889年（明治22年）4月1日：町村制の施行により、今井村、木月村、市ノ坪村、苅宿村、井田村、北加瀬村が合併し、住吉村が成立しました。これにより、近代的な地方自治体としての歩みを始めました。
1925年（大正14年）5月10日：一部区域（北加瀬）を日吉村へ分割編入し、残部が中原村と合併して中原町となりました。これにより、住吉村は廃止されました。
1933年（昭和8年）8月1日：中原町が川崎市に編入されました。これにより、旧住吉村の区域は川崎市の一部となりました。
1937年（昭和12年）4月1日：日吉村が川崎市と横浜市に分割編入されました。旧住吉村の区域は完全に川崎市の一部となりました。
1972年（昭和47年）4月1日：川崎市が政令指定都市に指定され、北加瀬の一部（現在の西加瀬全域、大倉町の一部を除く）が幸区に、残部が中原区になりました。

地名

地名としての「住吉」は、1942年の木月住吉町の起立で復活しました。また、住吉神社（明治42年創建）、住吉小学校（明治33年創立）、住吉中学校（昭和22年開校）、住吉高等学校（昭和54年開校）など、現在も「住吉」の名が使われています。これらの施設は、地域住民にとって重要な存在であり、住吉村の歴史を今に伝えています。

交通

鉄道路線

東京横浜電鉄（現東京急行電鉄）東横線の元住吉駅は、住吉村廃止の翌年、1926年に木月に開業しました。駅名の由来は、旧住吉村の地に由来し、「住吉」の名に愛着を持った住民からの要望によるものです。この駅は、現在も地域の重要な交通拠点となっています。

道路

綱島街道が村域を通過しており、古くから主要な道路として機能していました。

現在の町名

住吉村の旧村域は、現在の川崎市中原区と幸区に分かれています。

川崎市中原区

旧今井村：今井上町、今井仲町、今井南町、今井西町
旧木月村：木月、木月大町、木月祗園町、木月伊勢町、木月住吉町
旧市ノ坪村：市ノ坪
旧苅宿村：苅宿
旧井田村：井田、井田中ノ町、井田三舞町、井田杉山町
旧北加瀬村（一部）：西加瀬、大倉町（一部）

川崎市幸区

旧北加瀬村（一部）：北加瀬

関連項目

* 神奈川県の廃止市町[[村]]一覧

この地域は、歴史的な変遷を経て現在の形に至っており、住吉村の名は、地域の歴史を語る上で重要なキーワードとなっています。この地域を訪れる際には、その歴史的な背景を理解することで、より深く楽しむことができるでしょう。

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