住吉神社 (下関市)

住吉神社（すみよしじんじゃ）

山口県下関市一の宮住吉に鎮座する住吉神社は、長門国の一宮として古くから信仰を集める神社です。大阪の住吉大社、博多の住吉神社と共に「日本三大住吉」の一つに数えられ、特に航海安全や武道の神として知られています。本殿は国宝に指定されており、歴史的価値の高い文化財が数多く残されています。

祭神

住吉神社の本殿は、第一殿から第五殿までの五つの社殿が連なる独特な構造をしています。それぞれの社殿には以下の神々が祀られています。

第一殿: 住吉三神（表筒男命、中筒男命、底筒男命）
第二殿: 応神天皇
第三殿: 武内宿禰命
第四殿: 神功皇后
第五殿: 建御名方命

大阪の住吉大社が住吉三神の和魂を祀るのに対し、この神社では荒魂を祀るとされています。

歴史

神社の創建は、神功皇后が三韓征伐の際に住吉三神の神託を受け、帰途に「我が荒魂を穴門の山田邑に祀れ」という再びの神託に従い、祠を建てたことに始まると伝えられています。古くは『延喜式』にも名神大社として記載され、軍事や海上交通の神として朝廷や武士からの崇敬を集めました。

鎌倉時代には源頼朝をはじめとする歴代将軍からの寄進を受け、戦国時代には一時衰退しましたが、大内氏や毛利氏によって復興しました。江戸時代には長州藩主毛利氏によって社殿が修復され、明治維新後には近代社格制度において官幣中社に列せられました。

神階

住吉神社は、その歴史の中で度々神階が昇叙されてきました。以下に主な昇叙の記録を示します。

天安3年（859年）1月27日: 従五位下から従五位上へ
貞観17年（875年）10月8日: 従五位上から正五位下へ
貞観17年（875年）12月5日: 従四位下から従四位上へ
仁和2年（886年）11月14日: 従四位上から正四位下へ
寛平3年（891年）8月21日: 正四位下から正四位上へ

社殿

本殿は応安3年（1370年）に大内弘世によって造営されたもので、国宝に指定されています。五つの千鳥破風付き一間社が並ぶ独特の九間社流造で、中央の第三殿の前には拝殿があります。拝殿は毛利元就の寄進により天文8年（1539年）に造営されたもので、重要文化財に指定されています。

主な祭事

住吉神社では、年間を通して様々な祭事が行われています。

例祭: 12月15日に行われます。例祭の前には「御斎祭」として、境内に注連縄を張り巡らし、一般の参拝を制限し、神職も境内から出ないという厳重な物忌みが行われます。
和布刈神事: 旧正月の未明に、壇の浦の海中からワカメを刈り取って神前に供える神事です。神功皇后の事跡に因むもので、非公開で行われます。
お田植祭: 毎年5月第3日曜日に開催される農業祭です。五穀豊穣を祈り、弓矢で悪霊を祓う「弓鎮治舞」や、八乙女による「八乙女舞」、「早乙女舞」が奉納されます。また、境内では武道大会も開催されます。

文化財

住吉神社には、国宝や重要文化財など、多くの貴重な文化財が残されています。

国宝

本殿（附 玉殿5基、棟札4枚）：室町時代に造営された九間社流造の社殿です。

重要文化財（国指定）

拝殿: 室町時代に毛利元就が寄進した切妻造檜皮葺の建物です。
銅鐘: 新羅時代に作られた朝鮮鐘で、高さ147cmを誇ります。
金銅牡丹唐草透唐鞍 1具: 室町時代の作で、鞍、銀面、轡、雲珠、杏葉、鞖、障泥、韉、鞍褥、革鞦で構成されています。
住吉社法楽百首和歌短冊：室町時代に作られた和歌短冊で、三条西実隆筆序文などが付属しています。

登録有形文化財（国登録）

楼門: 2017年に登録された建造物です。
唐門及び透塀: 2017年に登録された建造物です。

山口県指定文化財

板絵着色繋馬図: 室町時代の絵画です。
狩野芳崖筆板絵着色絵馬: 江戸時代の画家・狩野芳崖による奉納絵馬です。
住吉神社文書: 鎌倉時代から江戸時代の古文書です。
長門国一の宮住吉神社社叢: 神社周辺の森林が天然記念物に指定されています。

下関市指定文化財

萌葱絲威肩白胴丸: 室町時代に作られた鎧です。

その他

紙本墨書後陽成天皇宸翰御懐紙: 国認定重要美術品です。
紙本墨書霊元天皇宸翰御懐紙: 国認定重要美術品です。

現地情報

所在地: 山口県下関市一の宮住吉一丁目11-1
交通アクセス:
鉄道: JR西日本山陽新幹線・山陽本線 新下関駅から徒歩20分またはタクシー5分。
バス: サンデン交通バス「一の宮」バス停から徒歩10分。
車: 中国自動車道 下関インターチェンジから約10分。

住吉神社は、その歴史と文化的な価値から、多くの人々にとって重要な場所となっています。ぜひ一度訪れて、その魅力を体感してください。

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