住吉踊り

住吉踊りの概要

住吉踊り（住吉踊）は、大阪に位置する住吉大社における御田植神事で見られる伝統的な舞踏です。この踊りは、戦国時代から続く歴史あるもので、住吉神宮寺の僧侶が京阪の各地を巡って広めていったことに起源を持っています。江戸時代には、乞食坊主たちが大道芸として各地で演じるようになり、かっぽれや万作踊りなど、他の踊りにも影響を与えていきました。なお、近年では、大道芸としての住吉踊りと、民間舞踊などが混ざり合った踊りも「住吉踊り」として認識されることがありますが、これらは本来の住吉踊りとは異なるものです。

歴史的背景

住吉踊りの起源は神功皇后が三韓からの凱旋時に起こったとされており、その際、泉州の漁民たちが天下安寧を祈って吉士舞を舞ったのが始まりだと言われています。中世には、農民たちが五穀豊穣を願い、虫追いや厄払いの意を込めた舞としても人気を博しました。住吉神宮寺の僧侶はこの踊りを通じて、庶民の幸福や繁栄を願って広めていました。

舞踏の特徴

住吉踊りの演目では、中心に大傘が立てられ、その周囲を4人の踊り手が回りながら踊ります。中心の音頭取りが歌をリードし、傘の周りで踊る者たちが「心」の字を形作ります。参加者が合わせて「必」の字となり、これが天地五行を象徴しています。また、衣装には紅、白、紫、黄、黒の5色が用いられ、これは神仏習合の影響を反映しています。傘は仏法の象徴ともされ、踊りは神仏による加護を願うものです。歌詞は豊作を願うものであり、音頭の掛声「イヤホエ」は「陰陽穂栄」が変化したと言われています。

復興と道芸

明治時代に住吉神宮寺が廃寺となったことにより、一時的に住吉踊りは途絶えましたが、大正時代の初めに地元の有志たちによって復興されました。彼らは古い資料をもとに、住吉大社の御田植神事の一環としてこの踊りを再生させ、伝統を次世代へ継承する取り組みが進められました。

大道芸としての住吉踊りは、江戸時代から広まったもので、願人坊主たちが踊りを用いて物乞いをしていたとされています。歌や踊りを面白おかしくアレンジすることで、エンターテインメントとしての要素が強化され、名古屋や江戸でも受け入れられるようになりました。特に江戸では、住吉踊りが舞台芸術として取り入れられ、多数の進化を遂げました。ちなみに、住吉踊りは江戸の寄席芸としても重要な位置を占めており、今なお多くの芸人たちによって受け継がれています。

現代における住吉踊り

現代では、寄席芸としての住吉踊りが復活され、演芸場などで定期的に行われています。特に浅草演芸ホールでは毎年8月に「納涼住吉踊り」として講演されています。また、名古屋でも大須演芸場で定期的に公演されるなど、各地で住吉踊りは引き続き盛んに行われています。寄席に参加する芸人たちは、伝統を尊重しつつも、新しいアプローチや演出を取り入れて魅力を高めています。

このように、住吉踊りは歴史と伝統が息づく舞踏であり、今なお多くの人々に愛される芸能として継承されています。

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